2019年度予算の概算要求からは、財政再建への責任感の希薄さが透けて見える。

 各省庁の基本的な経費を扱う一般会計の要求総額は、過去最大の102兆円台後半に膨らんだ。

 予算編成の過程で、19年10月の消費税増税に伴う景気対策や、幼児教育無償化などの費用が上積みされる。

 12月の編成後には、当初予算で初めて100兆円の大台に乗る可能性が高い。

 来夏の参院選をにらみ、業界や団体の要求を踏まえた与党議員らの歳出拡大の圧力も強い。野放図に予算を膨らませるのは許されない。

 18年度は財務省が査定で要求額から約3兆円減らし、当初予算を97兆7128億円に絞り込んだ。19年度も、必要性が薄れたのに惰性で継続している事業がないか、厳しく査定しなければならない。

 社会保障費も焦点である。厚生労働省の要求額は18年度当初予算比で2・5%増の31兆8956億円と過去最高になった。高齢化に伴う自然増は6千億円を見込んでいるが、圧縮幅に注目したい。

 防衛省は、地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」の導入費などを含め、2・1%増の5兆2986億円を要求した。

 北朝鮮の脅威に対する備えは欠かせないが、不要・不急の経費は盛り込まれていないだろうか。

 消費税増税に伴う景気対策の在り方も問われる。

 14年4月に消費税率を5%から8%に上げた際には、消費が大きく冷え込み、景気回復の動きに水を差した。

 そんな経緯もあって、対策は数兆円規模になるとの見方が強い。だが、国と地方が抱える借金残高は1千兆円を超えており、先進国で最悪の水準にある。歳出の3割近くを赤字国債に頼っている現実を、政権は直視すべきだ。過大な対策は、後の世代につけを回すことになる。

 政策経費を税収などの基本的な収入でどの程度賄えるかを示す基礎的財政収支は、1990年代から赤字が続く。

 もともと、消費税増税で見込まれる追加税収の8割は財政健全化に充てる計画だった。ところが、安倍政権は昨年、半分を教育や子育て支援に回す方針を決めた。

 これに伴い、20年度だった基礎的財政収支の黒字化目標を、25年度に先送りした。

 それなら、財政健全化の決意を予算案で示すべきだ。

 自民党は西日本豪雨など相次ぐ災害を踏まえ、国土強靱(きょうじん)化も推進する。

 ばらまきは慎むべきだが、国民の命と安全を守る経費を惜しんではならない。近い将来の発生が懸念される南海トラフ地震対策などには、十分な予算を求めたい。

 財務省は、学校法人「森友学園」を巡る公文書改ざんや前事務次官のセクハラ問題などで批判を浴びた。

 だが、歳出圧力に屈することなく、予算編成に当たってもらいたい。