さまざまな種類のパンが並ぶファミーユ・マルイ助任本店の店内。徳島のパン店数は多く、競争が激しい=徳島市下助任町3

 徳島県民はパンをよく食べる? 職業別電話帳タウンページの2018年版に掲載しているパン店の都道府県別データ集計で、徳島県が人口10万人当たりの件(店)数で全国1位だったことが分かった。1位は8年連続。詳しい理由は不明だが、県内のパン店やシンクタンクからは「県民は甘い物好きな傾向があるためだろうか」「米の生産量の割合が低く、パンの消費が多いのでは」などの見方が出ている。

 発行するNTTタウンページ(東京)では、職業ごとの都道府県別データを07年版から集計している。徳島のパン店の件数は、07年版と10年版が岡山に次いで2位だったものの、他の年は全て1位となっている。18年版の県内の掲載件数は115件。10万人当たりでは15・21件となり、2位だった富山の13・78件を1・43ポイント上回った。

 市町村別にみると徳島市50件、阿南市13件、小松島市7件、藍住町5件など。掲載件数自体は減ってきており、18年版は07年版の128件に比べて13件少ない。タウンページに電話番号を掲載していない店もあるため、パン店の実数は掲載件数より多いとみられる。

 パン店が多いのは、どんな理由が考えられるのか。1956年創業の老舗パン店・マルイパン(徳島市)の辻諭専務(58)は、菓子パンが昔からよく売れているのを踏まえ「お好み焼きでも豆玉焼きがあるなど、県民は甘い物好き。おやつとしてパンを食べる人が多いことが関係しているのではないか」。パンの消費志向の強さが背景にあるとみる。

 さらに、創業者の故・辻音吉さんが、神戸で修業している点に着目。「同様の人が他にも少なからずいるのかもしれない」とし、港町として古くから外国人が住み、国内パン文化の先駆けとされる神戸に近い土地柄も影響していると考える。

 パン店の多さに加え、最近はコンビニエンスストアやドラッグストアもパンの販売に力を入れており、県内では競争が激しくなっている。

 徳島市国府町と石井町の国道192号線沿いは、パン店が8軒ほど並ぶ「激戦区」。16年に国府町にオープンした「やましたベーカリー」店主の山下裕樹さん(40)は「パン店が多いのは出店前から分かっていた。他店にないパンを出すよう工夫している」と述べ、差別化に努める。

 徳島経済研究所は、徳島が1位になっている理由について「不明」としながらも、米の生産量との関連性を挙げた。「本県の農業産出額のうち米が占める割合は全国平均に比べて低い。このため、米以外にパンや麺を多く消費していることが考えられ、出店に影響している可能性がある」と推測した。