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社説
9月30日付  東京五輪施設  立ち止まり再考すべきだ  
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 競技施設の整備費などが膨らみ、このままでは大会経費の総額が3兆円を超える可能性がある。
 2020年東京五輪・パラリンピックの関連予算を検証する東京都の調査チームが、こんな推計を明らかにした。

 招致段階で見積もった7340億円の4倍にもなる。このコスト意識の低さには驚くばかりだ。
 五輪経費の抑制を求める世界の潮流に逆行しており、国と都、大会組織委員会は縮減に全力を挙げるべきである。

 調査チームは小池百合子知事に示した報告書で、都が整備する競技会場の3施設について、建設中止を含めて抜本的に見直す案も打ち出した。

 既に工事に入った施設もあるが、代替案の方が優れているのなら、再考をためらう理由はない。都は規模やコスト、使いやすさ、大会後の利用見通しなど、さまざまな観点からしっかりと検討する必要がある。

 3施設は、ボートとカヌー・スプリント会場の「海の森水上競技場」、バレーボール会場の「有明アリーナ」、水泳会場の「五輪水泳センター」である。

 このうち、海の森の整備費は当初69億円だったが、護岸工事などがかさみ、一時は1千億円超に跳ね上がった。491億円に圧縮したものの、それでも7倍以上で、見通しの甘さが際立つ。一部の選手やチームからは、競技に不利な横風が吹くとの声も上がっている。

 報告書は3施設とも、大会後の利用者数などの見積もりが過剰で、費用対効果が不透明だと指摘。それぞれ代替地の候補として、宮城県や横浜市など都内外の施設を挙げ、仮に代替地で対応できない場合でも、仮設施設としたり、規模を縮小したりして費用を抑えるよう提言した。

 招致活動で掲げた8キロ圏内に収まる「コンパクト五輪」に反する。しかし、経費削減のための既存施設活用は、国際オリンピック委員会(IOC)の考えに沿ったものだ。都は競技団体や国、他の自治体などと協議しながら、最善の結論を見いだしてほしい。

 大会経費が膨れ上がったことについて、報告書は各組織の「持ち寄り方式」が一因とし、都と国、またはいずれかが開催計画、予算、人員を一元管理するよう提案した。無責任体制からどう脱却するかが問われている。

 調査チームは今後、都が整備する残り4施設も調査し、仮設施設も組織委と共に見直しを行うとした。海の森など3施設を含め、計画や発注などの段階で問題はなかったのか、改めて経緯を厳しく検証してもらいたい。

 華やかな祭典の後に残すべきなのは「負の遺産」ではなく、多くの人に親しまれ、長く利用される「五輪のレガシー(遺産)」である。

 大会にふさわしい施設とはどういうものか。長期的、多角的な視点を持って見直さなければならない。

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