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社説
6月28日付  社会保障  参院選 財源の議論が不十分だ  
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 今年の春先、匿名の女性がブログに書き込んだ言葉が、大きな反響を呼んだ。

 「保育園落ちた 日本死ね」。とりわけ子育て世代に共感が広がったのは、その強烈な表現だけが理由ではない。深刻さを増す待機児童の解消は待ったなしの課題だ。

 超高齢社会を迎え、医療や介護、年金をどう充実させ、いかに持続可能にしていくのかも問われている。

 各党は声高に政策を主張するが、その実現性は不透明だ。将来を見通せる施策を示さなければ、国民の不安は消えない。聞こえがいい言葉だけではなく、財源や負担に踏み込んだ議論が求められる。

 社会保障で懸念されるのは、10%への消費税増税で予定していた充実策の行方である。増収分のうち、1兆2千億~1兆3千億円を充てることになっていたが、増税が再延期されたからだ。

 これにより、子育て分野では保育所整備など1千億円の財源不足が生じる。

 さらに、低所得の高齢者が支払う介護保険料の負担軽減など医療・介護分野で4千億~5千億円、低年金の高齢者に対する年6万円の給付金や、年金の受給資格期間を短縮する見直しで約6千億円が足りなくなる。

 安倍晋三首相は、これらについて「保育、介護の受け皿の整備はスケジュール通りに進める」と述べた。保育、介護は、安倍政権が掲げる「1億総活躍プラン」の重点項目である。

 問題は財源をどうするかだ。自民、公明両党はアベノミクスの果実である税収増で賄うとした。

 だが、思惑通りに税収が伸びる保証はない。英国の欧州連合(EU)離脱決定により、円高株安が長期化する恐れも出てきた。円安株高に頼ってきたアベノミクスのエンジンは吹かせられるのか。

 首相は「全て(充実策を)行うことはできない」とも語り、優先順位を付けるとしたが、何をやめるかは税収次第だという。選挙に不利になるとの判断だろうが、これではあまりに不誠実だ。

 増税再延期を主張した民進党も同様である。岡田克也代表は、全ての社会保障充実策を実施するとし、行財政改革の徹底で財源を捻出するとした。公共事業の精査や資産の売却などだが、どこまでできるのか。足りなければ赤字国債で埋めるというのも、無責任に過ぎよう。

 他の野党もさまざまな施策をうたっているが、実現への道筋は示せていない。

 不足する保育士、介護士の処遇改善をはじめ、低所得者支援や無年金対策など、社会保障の課題は、先送りすればするほど将来へのつけが膨らみ、対処が難しくなる。

 安定的な財源を確保するためには、歳出の見直しや、国民が負担を分かち合うことが不可欠だ。各党は痛みを伴う議論を避けてはならない。

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