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社説
10月18日付  返済猶予法案  中小企業を救う制度に  
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 政府は、中小企業の借金返済を猶予する「貸し渋り・貸しはがし対策法案(仮称)」を、26日に召集予定の臨時国会に提出する。1年間の時限立法とし、成立すれば速やかに施行する方針だ。

 景気は底入れしたとされるが、中小・零細企業の倒産増に歯止めはかかっておらず、地域で中核的な役割を担う中小企業は過大な債務に苦しんでいる。そうした企業の資金繰りを支援することは、過去最悪の状況にある雇用情勢を下支えすることにもつながるだろう。

 その意味で「返済猶予」法案は重要な施策であり、景気対策や地域経済の立て直しを図るうえでも機能するに違いない。

 ただし、制度が実効性のあるものでなければ元も子もない。というのも返済の猶予を希望する企業にどのような支援をするかは、金融機関が最終的に判断することになっているからだ。

 もとより民間の貸し借りに国が介入し、強制的に返済を猶予させるのは問題だ。このため法案は「努力規定」にとどめ、金融機関の自主性を重んじる形にする。

 その代わりに政府は、金融機関に返済猶予などの実施状況の報告を求め、定期的に公表する仕組みを導入するという。

 これにより「貸し渋りや貸しはがしの実態を監視できる」というわけだ。仕組みがきちんと機能すれば制度の実効性は高まるだろう。

 だが、返済の猶予は金融機関の経営に深刻な影響を及ぼす。このため融資先の返済を猶予しても不良債権扱いにしなくていいよう弾力的な措置を取るほか、融資に政府保証を付けることで、企業が破綻(はたん)しても損失を被らないように配慮する。

 そこで問題になるのが「どんな企業の返済を猶予するか」という制度の運用基準だ。緩やかにすれば救済できる企業は増えるが、再生の可能性が低い企業まで猶予対象となり、モラルハザード(倫理の欠如)を招いてしまう。

 融資先の破綻が相次げば、国民の血税で穴埋めしなければならない損失額は膨らむ。政府は、早ければ23日にも法案を閣議決定する方針だ。国民の理解が得られる運用基準を示さなければならない。

 このほか「中小企業向けの融資が多い信用金庫や信用組合などは過重な負担を強いられる」「経営体力の弱い金融機関が地域の中小企業を支援できるか」との懸念も出ている。こうした点でもきめ細かな制度設計を求めたい。

 法案作成をめぐる政府の情報開示姿勢も問われている。

 今月9日に法案の概要を発表した際も制度の中身について具体的な説明はなく、金融機関が行う「貸し付け条件の変更」に返済猶予が含まれているかどうか明確にしなかった。これでは「政策決定過程の透明化を掲げる政権の姿勢と乖離(かいり)している」と批判されても仕方がないだろう。

 今回の制度だけでは中小企業の経営環境は好転させられない。中長期の成長戦略を踏まえた、総合的な経済対策が必要なのは言うまでもないことだ。

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