![]() 10月19日付 新政府税調 「納税者の視点」を貫け
税金をどこから、どのくらい集めて、何に使うかは、いわば政治の根幹だ。時代に合わせて、それをしっかりと組み立てていかないと、日本の未来は切り開けない。 少子高齢化が進み、人口減少時代を迎える中、社会保障費は増える一方で財政は危機的状況にある。 鳩山政権は国民の生活を第一に考えた予算編成を目指しているが、政策を支えていくための税制はどうあるべきか。将来を見据えながら、大いに論議を深めてもらいたい。 自民党政権下では、政府と党のそれぞれに税調があった。しかし、有識者中心の政府税調は中長期的な視点から提言するだけで、税制改正の実権は党税調が握っていた。 党税調が業界団体などからの要望を受けて官僚と調整する仕組みで、しかも一部の実力者が「インナー」と呼ばれる密室の会議で最終決定していた。 税制の議論が利権に左右され、不透明になるようでは到底、国民の理解は得られない。 このため、鳩山政権は税調を政府に一元化し、藤井裕久財務相が会長に就任するなどメンバー全員を政治家で固めた。原則として会議を傍聴できるようにし、インターネットでも公開するという。 議論して決定する場を明確化し、政治主導で税制改革に取り組むことは一歩前進だ。会議の公開も評価できる。ぜひ、改革論議の中身が見える形で進めてほしい。 新税調は、民主党のマニフェスト(政権公約)に掲げられた税制改正項目などについての論議を本格化させるが、背負った課題は重い。 中でも、2010年度の税制改正で焦点となるのはガソリン税などの暫定税率の廃止だ。 暫定税率が廃止されれば、家計や運輸業界の負担は軽減され、地域経済の活性化にもつながるだろう。しかし、国と地方を合わせて2兆5千億円もの財源を失うことになる。 ただでさえ景気低迷で税収が大きく落ち込む中、新たな巨額の減収をいかにして補うのか。さらに、ガソリンの消費が増えれば地球温暖化対策に逆行する。これらの解決は一筋縄ではいかないだろう。 全国知事会は、暫定税率廃止に伴う減収分を穴埋めするため「地方環境税」への衣替えを提案。民主党も「地球温暖化対策税」の創設をマニフェストに盛り込んでいる。暫定税率の廃止は、新税導入と抱き合わせて考えるのが妥当ではないか。 民主党が「隠れ補助金」と批判する、業界ごとの租税特別措置の見直しも行う。特別措置は国税で約300項目あり、既得権益化しているものも少なくないとされる。公平・公正の観点から切り込み、見直すべきはしっかりと見直すべきだ。 鳩山由紀夫首相は、新税調について「利権がうごめく会議にしてはいけない。国民と正面から向かい合う議論を通して結論を出す」と話している。その言葉通りの姿勢を貫いてもらいたい。
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