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10月27日付 鳩山首相所信表明 理念だけでは物足りない
鳩山由紀夫首相の就任後初の所信表明演説は、そんな国民の期待に応えるものでなければならなかったはずだ。ところが、掲げた政策を実現させるための具体的な道筋が見えにくく、説得力に欠けるものだったと言わざるを得ない。 演説の中には、高速道路の原則無料化やガソリン税の暫定税率の廃止など、民主党が衆院選のマニフェスト(政権公約)に盛り込んだ重要政策がちりばめられた。しかし、それらの実施時期や優先順位についての言及はほとんどなく、肝心の財源確保策も示されなかった。 国の財政は危機的状況にある。先進国で最悪の水準にある長期債務残高(借金)を抱える中で、いかに赤字国債の増発を抑え、財政規律を維持しながら国民の負託に応える政権運営をしていくか。 28日からは野党との本格的な論戦が始まる。「国民主導」や「地域主権」の政治の実現を、単なるお題目に終わらせてはならない。代表質問や委員会審議を通して、さまざまな疑問や不安を払拭(ふっしょく)する確かな道筋を示してもらいたい。 首相の所信表明演説は、過去最大の1万2905字に及ぶ異例の長さだった。政権が掲げる政治理念を、平易な言葉で分かりやすく説明することが狙いだったようだ。 確かに、分かりにくいと不評だった「友愛政治」の説明に、衆院選の遊説先で出会った老婦人のエピソードを絡ませるなど、工夫の跡が散見される。 「脱官僚」と「政府への政策決定の一元化」を旗印にした統治機構改革をめぐっては、首相の変革にかける熱い思いも伝わってきた。 首相は「まず行うべきは戦後行政の大掃除だ」との決意を表明し、経済政策では「国民の暮らしを犠牲にしても経済合理性を追求する発想はもはや成り立たない」と小泉構造改革路線を明確に否定した。 その言葉通り、官僚依存の仕組みを排し、税金の使い道と予算編成の在り方を徹底的に見直しながら、暮らしの豊かさに力点を置いた政治を断行しなければならない。 気になるのは、外交政策の最大の焦点である米軍普天間飛行場(沖縄県)の移設問題をめぐり、「見直しの方向で臨む」としたマニフェストの表現が消えたことだ。 最近、移設問題や赤字国債の発行をめぐり首相の発言にぶれが目立ち始めた。日本郵政社長に官僚OBを起用する人事でも、「脱官僚」との矛盾を指摘する声は強い。 政権の真価が問われる2010年度予算編成やオバマ米大統領の初来日で、首相が決断に迫られる場面は増え続けることだろう。期待を裏切ることのないよう、腰を据えた対応を望みたい。 自身の政治資金虚偽記載問題では、陳謝するとともに捜査への全面協力を約束した。だが、説明責任は尽くされていない。国会審議を通し、あらためて丁寧な説明をする必要がある。
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