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11月21日付 裁判員裁判判決 厳しい判断を下した
事件は大阪府に住んでいた父親(62)が、統合失調症だった長男=当時(33)=の暴力に耐えきれず殺害、遺体を切断して鳴門海峡に捨てたとされるもので、殺人、死体損壊・遺棄の罪に問われた。 罪状認否で被告の父親が起訴事実を認めたため、刑の重さを決める量刑が焦点となっていた。 検察側は懲役15年を求刑し、弁護側は同5年が相当と主張していた。判決は検察側の求刑に近く、重い刑になったと言えるだろう。 事件の背景には家庭内暴力と精神障害という事情があり、社会が抱える深刻な問題を浮き彫りにした。それだけに、裁判員は難しい判断を迫られたのではないだろうか。 畑山靖裁判長は「同情すべき点はあるが、苦しみながら現実と向き合っている人がいることを忘れてはならない」と述べ、「(被告の最終陳述で)被害者への言葉がなかったのは残念だ。人の命の大切さを知ってもらいたい」と諭した。 審理では、検察側が証拠採用を求めた切断遺体の写真を「裁判員の精神的負担が大きい」として採用しなかった。閉廷後に記者会見に応じた裁判員には「見たい」という人がいた一方、「見たくない」という人もいた。妥当な判断と言えるだろう。 地裁での裁判は終わったが、事件で浮かび上がった課題が解決されたわけではない。精神障害者と、その家族をどう支えていくかという問題である。 長男は被告の妻である母親に暴力を振るい、「このままでは殺される」と思った母親と弟が別居し、被告が長男と2人で住むようになったという。長男は被告にも暴力を振るったほか、強制わいせつ事件も起こし、今年2月に有罪判決を受けた。 こうしたことから、被告は「(児童が殺傷された)大阪の池田小事件のような事件が起こるかもしれない、と心配した」と公判で話した。 精神障害に関する相談は保健所や精神保健福祉センターが受け付けている。しかし、被告は市役所や保健所に相談に行った際、思うような回答が得られなかったと説明。「かかりつけの病院にデイケアを断られた」とも語っている。 また、被告の妻は証人尋問で「警察に親子げんかで呼ばないでと言われ、嫌になっていた」と話した。 精神障害者と家族を支える制度を充実させるのはもちろんのこと、関係機関が連携をさらに強め、きめ細かく対応していく必要がある。 記者会見した裁判員からは「被告がもう少し世間に目を向けて相談していたら、違う方向に行ったのではないか」「同情だけで片づけてはいけない事件だと感じた」と厳しい意見が出された。 「同じような事件を防ぐために、医療を充実させるのも一つの方法と思う」との意見もあった。 いずれも、事件と真剣に向き合ってきた裁判員の正直な感想だろう。こうした悲劇を繰り返さないために、社会全体の問題として考えていく必要がある。
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