![]() 11月24日付 デフレ宣言 脱却へ具体策を打ち出せ
デフレは景気悪化で需要と供給のバランスが崩れ、商品やサービスの価格が下がり続ける状態をいう。 消費者にとってモノが安く買えるのは歓迎すべきことである。しかし、度を過ぎた価格低下は企業収益を悪化させ、ひいては賃金の引き下げや失業増を招く。 所得が目減りを続け、雇用も予断を許さない状況では、消費は冷え込むばかりだ。企業はモノを売るために一層の値下げを余儀なくされ、疲弊の度合いを増していく。 こうした物価の下落と不況の悪循環という「デフレスパイラル」に陥らないためにも、政府はデフレ脱却に向けた具体策を早急に打ち出さなければならない。 政府の月例報告に「デフレ」の表現が入ったのは2006年6月以来3年5カ月ぶりだ。日本経済が最悪期を脱し、持ち直しを続けている中でのデフレ宣言である。 背景には、デフレへの危機感を鮮明にすることで、日銀に政府と協調した政策対応を促す狙いがあるようだ。しかし、日銀の白川方明総裁は「デフレの根本的な原因は需要の不足にある」とし、金融政策だけでは限界があることを示唆した。 というのも日銀の政策金利はゼロに近い状態で、金融緩和の余地はほとんどないに等しいからだ。それでも、カネの供給量を増やす量的緩和政策や、12月末で打ち切られる企業の社債とコマーシャルペーパー(CP)の買い入れ継続など、打つ手は残されている。 日銀には政府と歩調を合わせた積極的な対応を求めたい。 少子高齢化と人口減少が急速に進む中、デフレからの脱却は容易なことではないだろう。 国の財政赤字は先進国で最悪の水準にある。財政規律を維持しながらも、企業の設備投資や個人消費の拡大に向けて、いかに効果的な施策を打っていくか。鳩山政権の真価が問われる正念場である。 当面の経済対策として急がれるのは雇用情勢の改善だ。今年9月時点の完全失業者数は363万人に達し、過去最悪だった03年4月の385万人に迫っている。 政府は、生活支援の窓口を一本化する「ワンストップ・サービス」を実施する方針だが、対症療法にすぎないだろう。昨年末の「年越し派遣村」のような事態を再び出現させないためにも、もっと大胆な施策が必要だ。 大学生や高校生の就職内定率も極めて厳しい状況にある。国と地方を挙げて支援に取り組んでほしい。 政府は、09年度第2次補正予算案に省エネ家電の「エコポイント制度」延長などを盛り込む方向で検討を始めた。公共事業を中心とした旧来型の発想から一線を画した内需拡大策に知恵を絞ってもらいたい。 今回のデフレ状況は、政府の経済運営に展望がみえないことから「鳩山不況」とも言われている。政府は月内にもまとめる追加経済対策の中身で、デフレ克服への強い姿勢を示さなければならない。
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