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社説
1月26日付  宜野湾市与党勝利  辺野古に青信号ではない  
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 沖縄で逆風を受けてきた安倍政権にとっては大きな勝利だろう。

 米軍普天間飛行場の移設問題が争点の沖縄県宜野湾市長選は、自民、公明両党推薦の現職佐喜真(さきま)淳氏が、名護市辺野古移設に反対する翁長(おなが)雄志(たけし)知事が支援した新人の元県幹部志村恵一郎氏を破った。

 宜野湾市民は、政権の後押しを受けた佐喜真氏の下で、基地返還と閉鎖を実現する道を選んだといえる。

 翁長氏との「代理対決」に勝った安倍政権は最新の「民意」を背景に、近く辺野古で海上部分の埋め立て工事に乗り出す構えだ。与党側の勝利は、夏の参院選にも影響を与えよう。

 翁長氏にとって、飛行場の地元でお墨付きを得られなかったのは痛手だ。

 だが、佐喜真氏が辺野古移設の争点化を避けたこともあって、移設容認の民意が十分に示されたとは言い難い。

 この結果を受けて、政府が強引に移設工事を推し進めることがあってはならない。

 選挙戦で佐喜真氏は「市民は一日も早い返還を望んでいる。飛行場の固定化を絶対許さない」と主張。辺野古移設への具体的な言及を控え、普天間飛行場の速やかな閉鎖と返還の実現に力点を置いた。

 佐喜真氏が政府との信頼関係を強調し、基地負担軽減やディズニーリゾート誘致による地域振興を訴えたことが、軍用機の騒音や墜落の危険性などの不安を抱える有権者に受け入れられたのだろう。

 一方、志村氏は「宜野湾市民と名護市民の命は等しく重い。新基地建設に反対する」と主張。辺野古移設反対を公約の柱に据え、無条件の飛行場閉鎖と返還を日米両政府に求める姿勢をアピールした。

 しかし、実現の可能性についての懐疑的な見方を払拭(ふっしょく)できなかったようだ。

 安倍晋三首相は「安全保障政策に関わる」選挙と位置付けて総力戦を展開した。佐喜真氏が敗れれば、移設計画に直接関係する県、名護、宜野湾両市の首長を移設反対派が独占し、計画に支障が出るのが避けられなくなるからだ。

 政権・与党は「安倍政権対沖縄」の色合いが強まると、住民の反発を招くことを懸念し、水面下で企業・団体の引き締めに力を入れた。この戦術も功を奏したとみられる。

 ただ、市長選で示された民意は、苦渋の選択の結果でもあったようだ。共同通信の出口調査では、辺野古移設に反対する意見は56%に達した。

 翁長氏が「沖縄の民意」を掲げて政府に移設の再考を迫ってきたのは、2014年の名護市長選、知事選、衆院選の4小選挙区で辺野古反対派が全勝しているからだ。

 志村氏が敗れても、「民意は示されている」と翁長氏が揺るがない移設反対の意思を示したのはそのためだろう。

 選挙結果を辺野古移設への青信号と判断すると、大局を見誤る。県と泥沼の法廷闘争を続ける政府には、立ち止まって熟考することが必要だ。

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