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社説
2月11日付  高市総務相発言  放送局の委縮が心配だ  
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 放送法は1条で、「放送の不偏不党」「自律」「表現の自由」の原則を示している。

 戦時中、政府の圧力や検閲などで表現の自由が守られなかった。その反省の上に立って放送法が制定されたことを忘れてはならない。

 高市早苗総務相の衆院予算委員会での発言には、言論の自由を守る観点から、疑問を感じる。

 高市氏は、放送局が政治的な公平性を欠く放送法違反を繰り返した場合、電波法に基づき、電波停止を命じる可能性に言及した。「極めて限定的な状況のみで行う」と言うが、放送局側の萎縮を招かないか、心配である。

 放送は総務省の免許事業であり、電波法76条は、総務相が、放送法に違反した放送局の運用を3カ月以内の間、停止できると定めている。

 権限を行使できる立場であればこそ、放送の公正さを保つため、慎重な言動、姿勢が求められる。

 高市氏は、電波停止を命じる基準として▽放送法に違反した放送が行われたことが明らか▽放送が公益を害し、将来に向けて阻止が必要▽同じ放送局が同様の事態を繰り返し、再発防止の措置が十分ではない▽放送局の自主規制に期待するだけでは、放送法を順守した放送が確保されない|を挙げた。

 放送法4条は、放送番組の編集に当たって「政治的に公平であること」「報道は事実をまげないですること」「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」などと定めている。

 放送局が順守しなければならないのは当然だ。

 だが、政権を批判する放送局の政治的な公平性を、政権側が適切に評価するのは、難しいとの指摘もある。

 高市氏の発言は、民主党議員の質問に答えたものだが、安倍政権がテレビの報道に神経をとがらせる中での発言である。放送関係者から、言論の自由に対する懸念の声が上がるのも無理はない。

 これまで政権与党は、放送局に「圧力」とも取られかねない注文をつけてきた。

 自民党は2014年末の衆院選を控え、在京各局に選挙報道で「公平中立、公正の確保」を求める文書を出した。 昨年も自民党は、テレビ朝日「報道ステーション」のコメンテーターの官邸批判発言や、NHK「クローズアップ現代」のやらせ疑惑で、局幹部をそれぞれ事情聴取した。

 安倍政権に批判的なキャスターらのテレビ番組降板が決まったことも気にかかる。

 これについて、安倍晋三首相は予算委で「言論機関が萎縮していることは全くない」と述べた。

 もとより放送局は萎縮してはならないが、視聴者は降板を偶然だと見るだろうか。

 安倍政権は甘利明前経済再生担当相の金銭授受問題で批判を浴びる。謙虚に自省し、メディアのチェックに耐える政権運営を行うべきである。

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