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社説
2月14日付  重力波観測  宇宙誕生の謎に迫りたい  
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 物理学者のアインシュタインが100年前に存在を予言し、「最後の宿題」とされた重力波の観測が現実のものになった。

 米国の大学を中心とする国際実験チーム「LIGO(ライゴ)」が、「二つのブラックホールが合体したときに放たれた重力波の観測に成功した」と発表した。

 世界で初めて重力波が直接観測された意義は計り知れない。宇宙の謎に迫る画期的な手段を得たといえる。

 重力波は、質量を持つ物体が動くと重力の影響で周囲の時間と空間がゆがみ、光速で波のように伝わる現象で「時空のさざ波」と呼ばれる。

 チームが重力波を観測したのは昨年9月14日。地球から13億光年離れたところで、太陽の29倍と36倍の質量がある二つのブラックホールが合体して出た重力波を、米南部と西海岸の2台の重力波望遠鏡が、ほぼ同時に捉えた。

 重力波望遠鏡は、一辺の長さが4キロのパイプをL字形に設置した巨大な装置だ。

 中心部から直角の2方向に同時にレーザー光を放ち、4キロ先の鏡に反射させて戻ってきた光を測る。重力波が届くと鏡までの距離が伸び縮みし、光の戻る時間にずれが生じるのを検知した。

 重力波が届いても、太陽と地球の間の距離が水素原子1個分ずれるほどのゆがみしか生じない。それだけに観測は至難の業である。

 LIGOは2002~10年の実験では観測できず、性能を向上させて昨年9月に再開した。極小のずれの発見は粘り強い努力のたまものだ。

 アインシュタインの一般相対性理論では、重い物体の周囲では空間がゆがむ。そう言われても、にわかには理解し難いものがある。だが、今回、観測された重力波は、理論が正しいことを示す証拠である。

 天文学の飛躍的な進歩も見込める。これまで大宇宙の探究は、可視光から電波、X線などに観測の手段を広げてきた。しかし、宇宙誕生から約38万年後までの姿を観測することは不可能だった。

 物質との相互作用が少ない重力波が観測できたことで、光や電波では見えなかった天体や、宇宙誕生直後の姿の解明にもつながりそうだ。「重力波天文学」に、道が開けたのは大きな前進である。

 日本でも、岐阜県飛騨市の地下に建設された重力波望遠鏡「かぐら」が今春、試験観測を始める。LIGOとの観測ネットワークができれば、重力波の発生源の特定など一層の成果も上がるだろう。

 観測計画の代表でノーベル物理学賞受賞者の梶田隆章東大宇宙線研究所長も意欲を見せており、成果が待たれる。

 かすかだが時空のゆがみを示す重力波の観測は、宇宙へのロマンをかき立てる。

 科学離れが懸念されている子どもの興味もそそることだろう。観測の成果を教育にも役立てて、科学の振興につなげたい。

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