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社説
7月4日付  松橋事件再審へ  全ての証拠開示を原則に  
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 極めて妥当な決定だ。

 熊本県松橋(まつばせ)町(現宇城市)で1985年、男性が刺殺された「松橋事件」について、熊本地裁が、殺人罪などで懲役13年が確定し、刑を終えた宮田浩喜さん(83)の再審開始を認めた。

 決め手となったのは、1枚の布切れである。宮田さんは凶器の小刀に巻き付け、犯行後に燃やしたと供述していたが、検察が保管していた。弁護側の求めを受けて開示したのは、判決確定から7年も後のことだ。

 物証がなく、頼りは自白だけ。布切れを出せば自白の信用性が崩れる。検察が隠していたと見られても仕方あるまい。

 証拠開示を巡っては、5月に成立した改正刑事訴訟法で、証拠リストを弁護側に公布する制度が新設されたが、不十分だ。隠蔽(いんぺい)を防ぐため、全証拠の一括開示を原則とすべきである。

 宮田さんは事件直後から任意で事情聴取され、殺害を認めた。自白は、長時間の取り調べで精神的に追い詰められ、取調官に迎合した作り話の疑いがあると、専門家は指摘している。

 改正刑訴法は自白の強要を防止するため、重大事件の容疑者の取り調べで録音・録画(可視化)を義務付けた。

 だが、逮捕前の任意の調べは除外している。取り調べの時間に制限がない任意でも義務化しなければ、今回のようなケースは防げまい。

 事件が起きたのは、免田事件や財田川事件が再審無罪になった後である。冤罪(えんざい)の教訓に学ばなかった捜査当局は、厳しく反省しなければならない。

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