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社説
2月7日付  財政再建に赤信号  成長頼みの姿勢を改めよ  
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 経済成長に依存する財政運営が限界に来ているということだろう。

 財政の健全性を示す国と地方の基礎的財政収支が、2020年度に8兆3千億円の赤字になるとの中長期試算を、内閣府が公表した。

 安倍政権の経済政策アベノミクスの失速で税収が伸び悩んでいるためで、赤字額は昨年7月の試算から2兆8千億円も悪化した。20年度に黒字化するとした財政再建目標の達成は、極めて困難になったと言えよう。

 保護主義色を強めるトランプ米政権の登場で、世界経済の不透明さも増している。政府は現実を直視し、成長頼みの姿勢を改めるべきだ。

 基礎的財政収支は、社会保障や公共事業などの政策に必要な経費を、借金に頼らずに税収などで、どのくらい賄えているかを示す指標である。

 国と地方を合わせた収支は1990年代から赤字が続き、借金の総額は既に1千兆円を超えている。先進国で最悪の状況であり、このままでは将来世代に重いつけを回すことになる。

 立て直しに向けて安倍政権が打ち出したのが、収支の黒字化だ。目標を2020年度とし、18年度の赤字額を国内総生産(GDP)比で1%に抑える中間目標も定めた。

 これに対して、内閣府は今回の試算で、18年度の赤字額がGDP比で2・4%程度になると予想した。中間目標の実現もほぼ絶望的である。

 要因は、税収が思うように増えていないことだ。16年度は昨年11月までの円高で法人税収が想定を下回り、所得の伸びの鈍化から所得税収、消費税収も振るわなかった。

 経済優先を掲げる安倍晋三首相は、高成長による税収増で財政再建を図るシナリオを描いてきたが、狙い通りにはなっていない。

 消費税増税を2度延期したのも、景気の腰折れを防ぐためだったが、デフレ脱却に至らず、財政悪化に拍車を掛ける結果となった。

 それでも、首相は経済再生と財政再建、社会保障改革の三つを実現すると強気だ。

 だが、その道筋は見えず、具体策は乏しい。

 そもそも内閣府の試算は、名目で3%以上の経済成長が続くとの前提で算出している。過去20年間で1度も実現したことがない成長率であり、実際の赤字額がもっと膨らむのは必至だ。

 政権内では、積極的な財政政策で景気浮揚につなげるべきだとの声が大きくなっているというが、危機感に欠けるのではないか。

 大事なのは、景気刺激を名目に歳出拡大を続けるのではなく、効果の薄い予算に切り込むなど、歳出を厳しく見直すことである。社会保障や消費税などの税制を含め、給付と負担の在り方の議論も避けては通れまい。

 財政再建は世界に対する約束である。おろそかにすれば、国際的な信認が揺らぎかねない。

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