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社説
2月11日付  共謀罪文書問題  法相の資質が問われる  
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 金田勝年法相の資質には、首をかしげざるを得ない。

 「共謀罪」の構成要件を厳格化した「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案を巡り、国会での「質問封じ」を狙うような文書を発表し、批判の的になっている。

 金田氏は衆院予算委員会で改正案に関する野党の質問を受けて、たびたび答弁に窮していた。

 そんな状況で、法務省が突然、「予算委におけるテロ等準備罪に関する質疑について」と題した文書を、報道機関向けに出したのである。改正案に関して「国会に提出した後、所管の法務委員会において、しっかり議論を重ねていくべきだ」という内容だ。

 法相に対する野党からの集中的な質問や追及をかわそうという狙いは明白である。

 金田氏は翌日の記者会見で、自身の指示によって文書を作成したと認め、撤回し謝罪した。

 答弁能力に欠け、窮地に陥ったからといって、「改正案の提出後に議論を」と報道機関に理解を求めるとは、考え違いも甚だしい。

 「テロ等準備罪」新設は、今国会の大きな焦点である。重大な犯罪の実行行為がなくても、準備行為があれば処罰できるようになるからだ。

 謀議に加わっただけで処罰される「共謀罪」から名称や内容が変わるにしても、捜査機関の拡大解釈や恣(し)意(い)的な運用によって、人権が侵害される懸念は拭い切れない。市民団体などが神経をとがらせるのも無理はなかろう。

 「共謀罪」法案は世論の反発が強く、過去3回も廃案になった経緯がある。国民の関心が強い法案について、提出の前から国会で論議を始めるのは、何ら不自然なことではない。

 金田氏の行為は言論の府である国会を軽視しているように映る。予算委で陳謝したが、それで済むものではあるまい。法務省側も、法相の思慮を欠いた指示をおかしいと考えなかったのか。

 政府、与党内からも金田氏の行動に苦言が寄せられた。野党からは法相辞任を求める声も上がっている。

 政府は、2020年東京五輪・パラリンピックのテロ対策のためには、国際組織犯罪防止条約の締結が必要だとして、前提とする改正法案の成立を図る構えである。対象犯罪は当初676だったが、公明党などの意向も踏まえて、200~300程度に絞る方向だ。

 野党は「対象犯罪の選別は国際組織犯罪防止条約上できない」とした過去の政府答弁書との「矛盾」を問題視している。当然の疑問であろう。

 言うまでもなく、テロ対策は大切だが、既存の法律で対処できるとの指摘もある。

 テロとは直接関係のない犯罪も、実行前から幅広く取り締まれるようになれば、冤(えん)罪を誘発する恐れもある。

 「テロ等準備罪」の新設によって、息苦しい監視社会にしてはならない。

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