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社説
2月12日付  日米首脳会談  親密さを強調したものの  
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 滑り出しは、まずまず順調と言えよう。

 安倍晋三首相とトランプ米大統領との初の首脳会談は、互いに親密さを強調し合う場となった。

 日米の首脳が良好な関係を築くことは、両国だけではなく、世界の平和と安定にとっても大切である。今回の会談がその第一歩となったのは間違いない。

 だが、日米同盟の強化や、経済、外交・安全保障の分野で協力していく方針は確認したものの、具体論には踏み込まなかった。今後、協議が進展するにつれて、利害が対立する可能性は十分にある。

 日本政府は楽観することなく、トランプ政権との間合いを測っていく必要がある。

 経済では、貿易や投資などについて協議する枠組みの新設で合意した。財政、金融などのマクロ経済政策の連携から2国間の貿易に関する枠組みまで、幅広いテーマで、麻生太郎副総理とペンス副大統領らが対話を進める。

 これまでトランプ氏は、対日貿易赤字を問題視し、日本の金融緩和策を円安誘導だと非難してきた。

 会談ではそれに触れなかったが、環太平洋連携協定(TPP)に代わる2国間の自由貿易協定(FTA)の交渉に日本が引き込まれれば、自動車や農産品などで大幅な譲歩を迫られる恐れがある。

 トランプ氏は会談後のワーキングランチで、日本企業の対米投資や雇用増への貢献を評価した。日本は、そうした説明を粘り強く続けながら、譲れないものを明確にし、国内産業への悪影響を防がなければならない。

 外交・安全保障では、沖縄県・尖閣諸島が日米安保条約第5条の適用対象であることを確認した。マティス国防長官らも表明しているが、共同声明に盛り込んだ意義は大きい。領有権を主張する中国への強いけん制となろう。

 安倍首相は、共同記者会見で「積極的平和主義の旗の下、より大きな役割を果たしていく」と述べた。同盟国に「応分の負担」を求めるトランプ氏の意向に沿った発言ともみられるが、集団的自衛権の行使を容認した首相の積極的平和主義には、危うさがつきまとう。

 日米同盟が大事なのは言うまでもない。その深化と同時に、トランプ政権が警戒する中国との関係を改善し、東アジアの安定に寄与することも日本の役割ではないか。

 疑問なのは、イスラム圏7カ国からの入国を禁止する大統領令について、会見で質問された首相がコメントを避けたことだ。英国やドイツ、フランスなどの首脳が次々と批判の声を上げる中、言うべきことを言わず、相性の良さをアピールする首相の姿を世界はどう見るだろう。

 首相は先月の施政方針演説で、自由や民主主義、人権などの基本的価値観を共有する国々との連携を強調した。その価値観の重要性をトランプ氏に説明すべきである。

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