徳島新聞Web

12月12日(火曜日)
2 2
12日(火)
13日(水)
社説
2月14日付  ネット検索削除  是非の議論を深めよう  
このエントリーをはてなブックマークに追加

 インターネット検索サイト「グーグル」に自分の名前などを入力すると、逮捕歴に関する報道内容が表示されるのはプライバシーの侵害だ-。

 男性がそう主張して米グーグルに検索結果の削除を求めていた裁判で、最高裁第3小法廷が削除を認めない決定をした。

 最高裁は「プライバシーの保護が情報を公表する価値より明らかに優越する場合に限って削除できる」という判断基準を初めて示したが、妥当なものだと言えよう。

 検索結果の削除は、犯罪歴をネット利用者の目に触れにくくする有力な方策である。ネット上では、情報が容易にコピーされるなどして拡散するため、発信者に対して削除要請をするのが困難な場合もあるからだ。

 最高裁は検索結果の提供は表現行為だとして、検索機能の社会的役割の大きさを認めた。この役割を制約して削除を認めるためには、高いハードルを設けたわけである。

 男性が児童買春で逮捕された今回のケースについては、「社会的に強い非難の対象で、今も公共の利害に関する事柄だ」と判断した。

 最高裁は削除の判断のポイントとして、記事記載の事実の性質や内容▽事実が伝達される範囲とプライバシー被害の程度▽記事の目的や意義-など6項目を挙げた。今後、同様の問題が起きた場合に、考慮されることになる。

 一方で、最高裁は「忘れられる権利」については言及しなかった。さいたま地裁の決定では、忘れられる権利を認めるなどして削除を命じたが、東京高裁は地裁の決定を取り消している。

 最高裁は忘れられる権利が保障されるべきかの判断を示さず、先送りした格好だ。

 欧州では削除を求める権利が、忘れられる権利として定着しつつある。日本でも、もっと論議を深めなければならない。

 米グーグルと日本のヤフーは、既に自主的に検索結果の削除を受け付けている。グーグルは、同意なく投稿された裸の画像などは削除すると明示している。

 しかし、逮捕歴などの判断は難しい。「時間の経過」も一つの判断要素だが、何年たったら削除の対象になるのか、最高裁は明確に示さなかった。裁判例の積み重ねを待つことになりそうだ。

 その間も、裁判所の判決に従って罪を償ったにもかかわらず、ネット上で犯罪歴が検索できるのなら、更生の妨げになる。就職活動の際に、名前を検索された結果、不合格になったという声も上がる。

 ネットには、個人を中傷する書き込みもあり、さまざまな問題をはらんでいる。

 最高裁の判断を機に、デマや名誉毀損(きそん)など公共性の低い情報は削除されやすくなるとの見方もある。

 国民の知る権利を損なわずに、プライバシーを保護するための解決策を、社会全体で考えていくことが大切だ。

メニュー
 徳島ヴォルティス        高校野球
 社説        鳴潮           号外       地震
 ニュースリリース           不審者
 人事       訃報