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社説
2月18日付  GPS捜査  秘匿でなく明確な要件を  
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 取り調べで容疑者に明かさない。捜査書類に書かない。報道機関に発表する際にも知らせない。

 衛星利用測位システム(GPS)端末を車などに取り付けて尾行する捜査に関し、警察庁が2006年、都道府県警に出した通達である。

 端末を使ったことを、とことん隠す。徹底した秘密主義は一体、何のためなのか。

 GPS捜査を巡っては、裁判所の令状に基づかない端末使用の違法性が各地の地裁や高裁で問われ、判断が割れている。最高裁大法廷は今春にも統一判断を示す見通しだ。

 事件の解決や犯罪抑止のため、新しい技術を取り入れるのは理解できる。

 問題は、運用が適切だったかを事後に検証できないようなやり方である。明確な要件や手続きを定めるなど、立法措置を含めて国会で議論を進めるべきだ。

 通達は、窃盗などの罪に問われた被告の公判で、弁護側の請求に基づき、東京地裁が検察側に開示を命じて明らかになった。

 それによると、「保秘の徹底」として、容疑者に明らかにしないほか「捜査書類には、GPSの存在を推知させる記載をしない」「事件広報の際は、GPS捜査を実施したことを公にしない」と明記していた。

 警察庁は「具体的な捜査手段を推測されると、対抗手段を講じかねられないため」と説明している。

 確かに、捜査対象者に知られると尾行の意味がなくなる。警察庁がGPS捜査を令状が不要な「任意捜査」と位置付けているのも、令状を取れば本人に知らせる必要があるからだろう。

 だが、詳細な位置情報を長期間にわたって取得すれば、プライバシー侵害の危険性が高くなる。

 情報がプロファイリング(犯罪情報分析)や思想・信条の把握など、目的外に使われる恐れも拭えない。

 警察庁は、犯罪の疑いや危険性が高く、速やかな摘発が求められ、他の手段で追跡が困難な場合に任意捜査で端末を利用できると定めている。しかし、警察内部だけの判断では歯止めにならない。

 徳島県警は、GPS端末を「捜査に使用したことはない」としている。

 求められるのは、恣意(しい)的な運用の有無を第三者がチェックする仕組みを作ることである。少なくとも令状は欠かせないのではないか。

 令状を取っても、対象者に直ちに通知しなくていい例はある。

 電話やメールを傍受する手続きを定めた通信傍受法には通信事業者に令状を示し、事後に本人に通知する規定がある。昨年、全国で初めて令状を取った千葉県警は、捜査の見通しが立った段階で本人に知らせる条件で請求した。

 端末使用の効果は大きいが、人権の制限など弊害が伴いやすいことを忘れてはならない。

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