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社説
2月19日付  復興庁発足5年  指導力を発揮しているか  
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 東日本大震災からの復興の司令塔である復興庁が発足して、5年が過ぎた。

 津波や東京電力福島第1原発事故によって未曽有の被害が出た大震災の傷痕は深く、今も12万人以上が避難生活を送っている。

 この間、現地の道路や鉄道の復旧率が90%を超えるなどインフラ整備は進みつつある。ただ、岩手、宮城、福島の被災3県では、復興庁が果たした役割への評価と不満が相半ばしているようだ。

 復興庁には、復興施策の総括や被災自治体に対する一元的な窓口、支援機能があり、被災3県に復興局や支所を配置している。

 政府は大震災から10年になる2021年3月までを「復興期間」と定めており、集中的に事業を推進する構えだ。復興庁はソフト、ハード両面で強い指導力を発揮してもらいたい。

 復興は道半ばではあるが、昨年末で、被災3県の災害公営住宅は78%が完成した。

 一方で、3県の沿岸部の防波堤の完成率は昨年9月時点で21%にとどまるなど、命を守る取り組みはまだまだ不十分である。

 土地のかさ上げによるまちづくりなどの事業にも遅れが生じており、復興庁は対応に追われているのが現状だ。

 加えて、福島第1原発事故の後遺症は深刻で、復興の早期実現は見通せそうにない。

 政府は、福島県内の避難指示解除に向けて除染作業を急いでいる。それでも、解除された地域では、放射線の影響による健康不安から、住民の帰還率が伸び悩んでいる。

 ここに来て、廃炉に向けた難題も明らかになってきた。2号機の原子炉格納容器を調査した際、溶け落ちた核燃料(デブリ)の可能性がある堆積物の状態や、極めて高い推定放射線量が、今後の課題として突き付けられたのだ。

 増え続ける汚染水の問題と併せて、原発を巡る住民の不安を軽減する手だてを講じなければ、福島の復興はおぼつかないだろう。

 被災地の首長からは、現地に足場がある復興庁の職員の訪問や相談窓口の役割を評価する声が上がる。

 だが、自治体関係者の間には、省庁をまたぐ事業の調整機能が物足りないという指摘もある。

 復興庁の約530人の職員の大半は他省庁からの出向だが、どんな案件があっても出身省庁の意向を気にせず、職務を遂行することが大切だ。そうしなければ、住民本位の施策をスピーディーに展開することはできない。

 20年東京五輪・パラリンピックのボート会場を宮城県に移す構想が浮上した際も、復興庁が調整に乗り出すことがなかった。「復興五輪」を掲げているだけに、もっと積極的に対処すべきだった。

 復興庁は設置法により、21年3月末までに廃止される。人が安心して住めるまちづくりとコミュニティーの再生を急がなければならない。

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