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社説
2月20日付  少年法の年齢  立ち直りの機会を大切に  
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 少年法の適用年齢を、20歳未満から18歳未満に引き下げるべきかどうか。法相が法制審議会に諮問した。

 18歳以上とした選挙権年齢に合わせる方がいいという考えや、犯罪の抑止につながるとの見方から、賛成する意見がある。

 ただ、少年法は更生の可能性が高い若者を保護し、立ち直らせることに主眼を置いた法律だ。改正されれば、18、19歳は保護観察や少年院送致など、更生に必要な施策を受けられなくなってしまう。

 なぜ少年法があるのか。どのような役割を果たしてきたのか。法制審はその点を十分に踏まえながら、慎重に議論を進めてもらいたい。

 少年法の見直しは、18歳選挙権を導入した改正公選法に、検討するよう明記されたのがきっかけだ。昨年には自民党が引き下げを提言した。成人年齢を引き下げる民法改正の動きも浮上している。

 大人として扱われる年齢は公選法や民法と同じ方が分かりやすい、という主張は一理あろう。

 しかし、選挙権や成人の年齢と更生の在り方とは本来、性質が違う問題である。18歳になったから保護は必要ないとは言えず、年齢を一致させればいいというものではあるまい。

 「自分たちは法で守られている」と高をくくる少年に責任を持たせることが犯罪の抑止になると、厳罰化や年齢引き下げを求める声が根強いのも事実だ。

 一方で、心身が未発達な若者に刑罰の威嚇は通用しないという専門家の指摘もある。

 そもそも、少年犯罪は減り続けている。2015年の刑法犯の検挙人数は約4万8千人と、1998年の4分の1に減少した。少年による殺人が60年代後半に急減するなど、凶悪犯も近年、戦後最低レベルとなっている。

 現行の少年法では、20歳未満で事件を起こした場合、全て家庭裁判所に送られ、動機や生育歴、生活環境などの調査を経て、少年院送致などの是非が検討される。

 少年院は、少年一人一人に応じた矯正教育計画を作り、生活の知識・態度や職業技能の習得、基礎学力の向上などを通じて社会復帰を支援している。

 こうしたきめ細かな指導、教育が、再犯の予防に役立っているのは言うまでもない。

 年齢の引き下げは、18、19歳の若者から矯正教育を受ける機会を奪うことを意味する。再犯率が高くなれば、かえって犯罪が増えるだろう。

 再犯の防止に向けては、教育的処遇を充実させるため、懲役刑と禁錮刑を一本化する新たな刑罰の創設が、法制審に諮問された。議員立法の再犯防止推進法も昨年末に成立している。

 少年法見直しの動きは、教育を重視する流れに逆行するのではないか。年齢の引き下げありきではなく、少年法の精神にのっとり議論を深めることが大切である。

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