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社説
2月23日付  トランプ氏と中東  和平の仲介役降りるのか  
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 トランプ米大統領は、イスラエルへの露骨な肩入れが引き起こすリスクを考えているのだろうか。

 イスラエルのネタニヤフ首相との会談で、中東和平に向けて、イスラエルとパレスチナ自治政府が直接交渉で解決すべきだと言明した。米国は「真剣に取り組む」としつつ「双方が望むなら、2国家共存でも1国家でも、どちらでも構わない」と発言したのである。

 米国の歴代政権は、2国家共存が和平実現への唯一の道だとの立場を堅持してきたが、トランプ氏の発言は、これを後退させるものだ。無責任としか言いようがない。

 国際社会も近年、和平実現のため、中東に積極的に働き掛けてきた。

 国連のグテレス事務総長が「2国家共存以外に解決方法はない」と強調したのは、もっともだ。

 米国が、長く担ってきた仲介役を降りるようなことになれば、2014年以降、暗礁に乗り上げている和平交渉の再開も見通せなくなる。

 一方、米国のヘイリー国連大使は、パレスチナ国家樹立によるイスラエルとの「2国家共存」を支持すると表明した。中東政策に対するトランプ政権内のずれが浮き彫りとなっている。

 パレスチナ自治政府のアッバス議長は、東エルサレムを首都とし、ヨルダン川西岸とガザ地区を領土とする国家の樹立を掲げてきた。

 トランプ氏はネタニヤフ氏との会談で、国際社会が非難しているヨルダン川西岸などでの入植地拡大に関しては「少し差し控えてほしい」と自制を求めた。

 これは当然のことだが、今後そうした圧力を弱めれば、トランプ政権に対するパレスチナ側の不信感は一層強まるだろう。

 アッバス氏への支持も低迷しており、このままなら、対イスラエル武装闘争を掲げる急進勢力が台頭しかねない。

 和平交渉に進展が見られず、悲願である国家樹立の展望を失えば、パレスチナ人がアッバス氏に見切りを付け、暴発する可能性もある。

 米国が方針転換すれば、イスラエルの治安を不安定にするばかりでなく、経済活動にも悪影響を及ぼす。

 さらに懸念されるのは、テルアビブにある在イスラエル米大使館のエルサレムへの移転について、トランプ氏が意欲を見せていることだ。

 イスラエルはエルサレムを「首都」であると主張しているものの、国際社会は認めていない。

 トランプ流では済まされない問題である。

 トランプ氏が大統領に就任してから1カ月が過ぎた。次々と難局に直面する政権運営を振り返るまでもなく、危うさばかりが目立つ。

 トランプ氏の政策は側近らが主導しているといわれるが、その手法を問い直し、自らの政策と言動に慎重を期してもらいたい。

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