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社説
2月25日付  残業時間規制  過労死ラインと同じでは  
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 残業時間の上限を法律でどう定めるか。労使の代表らが参加する政府の働き方改革実現会議の議論が、大詰めを迎えている。

 過労死や過労自殺の悲劇を、二度と起こしてはならない。それが働き方改革の原点だ。長時間労働の抑制へ、働く人の命と健康を最重点に据えた議論をすることが大切である。

 現行の労働基準法は労働時間を1日8時間、週40時間までと規定している。労使間で協定(三六協定)を結べば月45時間まで残業が認められ、さらに労使が特別条項を結べば年6カ月まで、上限を超えて残業させることができる。

 だが、特別条項には上限や目安がない。このため、残業時間は事実上、「青天井」となっている。

 これに歯止めをかけようというのが、実現会議の狙いである。政府は、来月にまとめる実行計画に合意内容を盛り込み、労基法改正案を国会に提出する方針だ。

 会議では、1年間の残業時間の上限を720時間(月平均60時間)とし、超えたら罰則を科すとした政府の抑制案に、労使とも大筋で合意した。これまで残業規制に否定的だった経済界が上限の設定を受け入れたのは、一歩前進と言えよう。

 問題は、繁忙期の残業を月100時間まで認め、2カ月続く場合は月平均80時間を上限とする案を、政府が検討していることだ。

 厚生労働省は、脳・心臓疾患で倒れる前の1カ月間の残業が100時間、または2~6カ月の月平均が80時間超に上ることを、労災認定の一つの目安にしている。いわゆる「過労死ライン」だ。

 これを下回れば安全というわけではなく、2015年度に労災認定された過労死96件のうち、残業が80時間未満のケースは5件あった。

 短期間とはいえ、労災認定基準ぎりぎりの残業を認めるのは、過労死の危険がある働き方に国がお墨付きを与えるものではないか。

 厚労省の13年の調査では、月100時間超の残業ができる労使協定を結んでいる事業所は、全国で1・2%しかなかった。これでは、上限を設けても大半の事業所が現状のままということになる。

 過労死や過労自殺で家族を亡くした遺族らから、「経済成長のためには国民の犠牲はやむを得ないのか」などと、批判の声が上がっているのは当然だろう。

 研究開発職などを残業規制の対象外とすることを、政府が検討しているのも気に掛かる。企業の競争力を維持する観点からだというが、例外は極力避けるべきである。

 残業規制のほか、終業から始業までに一定の休息を入れる「勤務間インターバル規制」の導入も有効だ。

 長時間労働の悪弊を断ち切るためには、さまざまな方策が必要となる。労使双方の意識改革が不可欠なのは言うまでもない。

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