徳島新聞Web

8月20日(日曜日)
2 2
20日(日)
21日(月)
社説
3月1日付  金正男氏毒殺  北朝鮮封じ込めへ圧力を  
このエントリーをはてなブックマークに追加

 北朝鮮への国際社会の対応が、厳しさを増している。

 北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男(キムジョンナム)氏がマレーシアの空港で殺害されて2週間が過ぎた。

 北朝鮮外交官が関与した疑いも濃厚になり、国家ぐるみの組織的犯行の疑いは強まるばかりである。

 米国は強硬姿勢で北朝鮮への圧力を高める構えで、米独自の金融制裁などの対象とする「テロ支援国家」に北朝鮮を再指定する検討を始めた。

 テロ支援国家指定は、ブッシュ政権下の2008年に解除された。北朝鮮の勝手な行動を容認しないという姿勢を示すため、取るべき手段の一つだ。

 北朝鮮核問題を巡る6カ国協議の首席代表会合もトランプ政権の発足後、初めて開かれ、米国や日本、韓国は正男氏の殺害事件に関しても意見交換した。会合では、核・ミサイル開発を進める北朝鮮は日米韓の安全保障にとって「直接の脅威」だとし、金正恩体制について「強い国際的圧力が必要」と訴える共同声明を出した。

 日本も米国、韓国と協調して、実効性のある措置を講じなければならない。

 今回の事件で特異なのは、公共の場である国際空港で、正男氏が猛毒の神経剤VXを使って殺害されたことだ。

 マレーシア警察は遺体からVXが検出されたことから、実行犯の女2人が正男氏の顔にVXを塗って殺害したとみている。警察は、実行犯の女2人とマレーシア在住の北朝鮮国籍の男を逮捕した。さらに、在マレーシア北朝鮮大使館の書記官と、北朝鮮国営の高麗航空職員の関与が疑われている。

 マレーシアは北朝鮮の数少ない友好国だ。だが、自国で殺害事件を起こされた上、北朝鮮が「マレーシアの捜査は信用できない」と決めつけたことに、強く反発している。

 北朝鮮政府の壁は厚いが、徹底解明してもらいたい。

 事件は、北朝鮮と東南アジア諸国連合(ASEAN)の関係にも影響を与えそうだ。 北朝鮮は加盟10カ国と国交があるが、マレーシアの反発が加盟国に波及する可能性をどう考えているのか。実行犯の女2人のうち1人はインドネシア国籍で、もう1人の女はベトナム国籍だという事情もある。

 これまで毎年、北朝鮮はASEAN地域フォーラム(ARF)に参加しており、米国などと接触できる場になっていた。域内で反発が高まった場合には、北朝鮮の参加を認めない事態も予想される。

 孤立化が一層進めば、ミサイル発射などの行動をエスカレートさせる恐れもある。核兵器だけでなく、VXやサリンのような化学兵器も大量に保有しているとみられる北朝鮮の暴発は、何としても避けなければならない。

 どんな挑発をしても得られるものは何もない。国際社会が結束し、北朝鮮にしっかりと認識させることが重要だ。

メニュー
 徳島ヴォルティス        高校野球
 社説        鳴潮           号外       地震
 ニュースリリース           不審者
 人事       訃報