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社説
3月8日付  ふるさと納税  豪華な返礼品頼みでなく  
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 「ふるさと納税」の寄付獲得競争が過熱している。自治体同士が返礼品の豪華さを競い合う状況は異常だ。

 地元の産品を返礼品とするのが一般的だったが、近年は高級食材など高額な品物を用意する傾向が強まり、商品券や家電を贈る自治体もある。高市早苗総務相が是正策を検討する意向を示したのも無理はない。

 このままでは制度そのものが破綻してしまう。各自治体は自制すべきである。

 自治体に寄付すると、税が軽減されるふるさと納税は9年前に始まった。検討段階では、寄付先は出身地や過去に住んでいた自治体に限定することを想定していたが、最終的に「応援したい自治体」も含めた。このため、どこでも寄付ができるようになり、返礼品競争をあおった。

 一昨年、政府が寄付額の上限を2倍に引き上げたことで競争に拍車が掛かった。2015年度の寄付額は前年度の4倍以上に膨らみ、16年度は2千億円を超える勢いだ。

 過度な返礼品競争はさまざまなひずみを生んでいる。

 その一つが、返礼品代に多くを費やさなければならなくなったことである。寄付総額に占める返礼品代は、15年度の37%から16年度は43%に膨らむ見通しだ。経費がかさむため、寄付のほぼ半分しか政策などに生かせない。

 さらに、居住地以外に寄付する人が増えれば、それだけ寄付者が住む自治体の税収は目減りする。徳島県と県内24市町村で、税控除によって15年に3億1130万円の財源が流出し、寄付額との差し引きは赤字だった。

 共同通信の全国調査で、返礼品の上限設定などの是正が必要と回答した自治体は全体の72%、県内でも3分の2の16市町に上った。飯泉嘉門知事も「上限を設けることはやむを得ない」との考えだ。

 埼玉県所沢市は「制度の趣旨から逸脱した自治体間競争から降りる」とし、返礼品を取りやめることを決めた。片山善博元総務相ら有識者からは廃止論まで出ている。

 ただ、返礼品のメリットも無視できない。自治体にとっては特産品をPRする機会になり、地場産業の振興につながる。

 高知県奈半利町は寄付額が急増したことから、不足した返礼品の開発などを行う加工販売施設を建設した。

 徳島県と県内市町村への15年度の寄付額は計2億5622万円で、全国最下位だった。過剰な返礼品競争から距離を置いていたとも言えるが、うまく特色を出せなかったのではないか。

 寄付金の使途として、犬の殺処分ゼロを目指すNPOへの支援を打ち出し、寄付額が急増した広島県神石高原町ののような例もある。徳島市は、阿波踊りPR用のアニメポスターを返礼品にして人気を呼んだ。

 豪華な返礼品に頼らずに、寄付を得る工夫と努力が求められている。

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