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社説
3月9日付  大震災6年 上  笑顔は戻ったのだろうか  
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 6回目の春を迎えたが、どれほどの人たちに笑顔が戻っただろうか。

 東日本大震災から11日で6年になる。道路や鉄道の復旧率が90%を超えるなどインフラ整備は進みつつあるが、問われているのは、人のつながりであり、コミュニティーの再生である。

 津波やそれに伴う東京電力福島第1原発事故で被災し、今なお避難生活を余儀なくされている人は、12万3千人余りに上る。このうち、約4万人がプレハブの仮設住宅で暮らしている。

 明日への希望より不安が勝っている人が多いのは間違いない。たとえ衣食に不安はなくても、被災者の住まいが確保できなければ、真の復興とは言えまい。そうした人たちに、どこまでも寄り添っていくことが大事である。

 胸が痛むのは、仮設住宅で「孤独死」が続いていることだ。岩手、宮城、福島3県警によると、昨年は計28人が亡くなった。震災で助かったものの、誰にも看取られることなく、この世を去った人たちである。

 孤独死は、2011年3月の震災発生から昨年12月までの約6年間で、計230人を数える。うち6割に当たる134人が65歳以上だった。

 仮設住宅を巡っては、住宅の再建が進み、空室も目立ち始めている。残った住民の多くもまた65歳以上だ。

 こうした実態を踏まえ、行政だけでなく、警察や新聞配達員、弁当の配達業者、郵便局員らが見守りに一役買う動きが始まっている。

 お茶会といった集まりを増やすなど、孤独死を防ぐ取り組みによって、被災者同士の結び付きを強めていくことが重要である。

 仮設住宅などで暮らしてきた被災者向けの恒久的な賃貸物件である災害公営住宅も、課題を抱えている。

 3県の災害公営住宅は、65歳以上の入居者が40%を占める。孤立しやすい高齢者をどう支えるか。住民や行政のネットワークづくりが急務だ。

 一方、3県の仮設住宅で暮らす被災者のうち、千を超える世帯は新居が決まっていないという。

 自宅再建や賃貸物件への入居が経済的に難しいのが、主な理由である。仮設での暮らしが長期に及ぶ高齢世帯にとっては、再び生活環境が変わることへの抵抗感も少なからずある。

 だが、将来的には仮設住宅の解消は避けられない。新しい住居が決まらない被災者の自立をどう助けていくのか。受けられる支援などについて、自治体はしっかりと情報提供しなければならない。

 被災した海辺の町を歩くと分かる。空き地が広がり、高台へ住まいを移す人たちが多くなった。

 そこでも重要になってくるのは、被災者が支え合い、助け合っていくような地域のコミュニティーである。そうした人の絆を再び強めていくことが大切だ。

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