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社説
3月10日付  大震災6年 中  生活支える産業に力を  
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 被災地を支える地場産業は今、どうなっているのか。それを再生してこそ、復興と言えよう。

 農林水産業は回復しつつあるが、東京電力福島第1原発事故の影響で、福島県の遅れが気掛かりだ。

 被災3県で津波によって浸水した農地のうち、宮城で96%、岩手で77%が営農できる状態に回復したが、避難指示区域が残る福島は46%にとどまっている。

 さらに、福島県産品には根強い風評被害がある。消費者庁の最近の調査では、福島県の農水産物を買い控えるという消費者が16・6%もいた。

 桃やコメなど福島産農産物は、他の産地より安い価格で取引されているのが実情である。販路が回復しないことや業者による不当な「買いたたき」が一因のようだ。これでは、ただでさえ苦しい生産者の営農意欲をそぎかねない。

 国は、福島県の農産物が厳格な検査で安全性が確保されていることを、消費者に周知徹底する必要がある。流通面で福島の生産者が不利益を強いられている実態の解明も急ぐべきだ。

 漁業でも港湾のインフラ整備が進んでいる。被災した漁港は、部分的な岸壁の回復を含めると99%が復旧した。

 ただ、岩手、宮城両県は水産市場が全て再開したのに対し、福島県では12施設のうち、わずか1施設だ。

 原発事故の影響で、福島県沖では漁が自粛された。県漁業協同組合連合会は12年から海域を絞った試験操業を行っているが、国よりも厳しい県漁連独自の基準をクリアしたものだけを出荷している。それでも魚介類の値段は震災前より格段に安いという。

 私たち消費者は、こうした福島など被災地の産品を積極的に購入することで、復興を後押ししていきたい。

 希望の光も見え始めている。津波で大きな被害が出た宮城県南三陸町では「南三陸志津川さんさん商店街」が、かさ上げされた土地で常設店舗として再オープンした。住民のほか観光客も集う拠点である。地域を勇気づけ、活性化させてほしい。

 とはいえ、3県で仮設の店舗や事務所で復旧した飲食、建設、小売りなど約3千の業者のうち、恒久施設で本格再建したのは約400業者にすぎない。約2300業者は入居を継続しており、46業者は廃業した。

 再建する場所の確保が難しく、資金的にも余裕のない厳しい現実がある。

 観光客の減少から休業、廃業したホテル・旅館は数多い。最近では、土木工事など復興需要の縮小による企業倒産も起きている。

 住民の就労の場となる産業を活気づけ、定住人口を増やさなければ、被災地の再生はおぼつかない。

 農業、水産、商工業者にとっても、復興は途上だ。

 国は、地場産業をてこ入れする支援策を、しっかりと打ち出さなければならない。

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