徳島新聞Web

6月27日(火曜日)
2 2
27日(火)
28日(水)
社説
3月11日付  大震災6年 下  それでも再稼働なのか  
このエントリーをはてなブックマークに追加

 原発事故の被害は、いかに深刻で長く続くものなのか。それを物語る数字がある。

 7万9千人余。福島県内外の避難者数だ。大震災による避難者の6割以上を占め、2012年のピーク時の半数近くが、まだ家に帰れない。

 東京電力福島第1原発の事故から6年がたっても、避難指示が出たままの地域が残る。解除された5市町村でも、帰還率は1割ほどだ。来月までに新たに4町村で解除される予定だが、やはり戻る人は多くないとみられる。

 帰郷の足を遠ざけているのは、商店や病院など生活環境の不備に加え、原発の安全性と放射線への不安である。

 生活空間の放射線量を減らす除染は、帰還困難区域を除いてほぼ終了した。だが、除染廃棄物が入った黒い袋が山積みになっている光景は、今も変わらない。仮置き場に置かれた袋は1月末時点で約746万個に上る。遅れている中間貯蔵施設の整備を急がなければならない。

 最大の課題である原発の廃炉作業は難航を極めている。

 廃炉を行うには、溶け落ちた核燃料(デブリ)を取り出す必要がある。東電は、ロボットを使って2号機のデブリの実態把握を目指しているが、原子炉格納容器内の空間放射線量が毎時650シーベルトにもなることが分かった。

 ロボットが耐えられるのは累積千シーベルトまで。進入経路上の堆積物にも阻まれ、先月の調査は失敗に終わった。

 炉心溶融は米スリーマイルアイランド原発事故でも起きたが、圧力容器を突き破って格納容器に達したデブリを取り出す試みは例がない。1、3号機の状況は、2号機よりさらに悪いとみられている。

 東電と政府は、今年夏ごろまでに取り出し方法を決める方針だが、先は見えない。廃炉の期間も30~40年で大丈夫なのか。国内外の英知を集めなければ到底達成できまい。

 待ったなしの問題は、増え続ける高濃度汚染水である。原子炉建屋に流入する地下水などがデブリに触れるのが原因で、くみ上げた水の総量は約96万トン、敷地内の貯蔵タンクは約千基と限界に近い。

 抜本策とされた地中の壁「凍土遮水壁」も、期待したほど効果は上がっていない。東電はタンクの大型化で急場をしのいでいるが、長期戦となるのは必至だ。

 廃炉や除染、賠償を含めた事故処理費用も底なしの様相を呈している。経済産業省は昨年、当初想定した11兆円を21兆5千億円に倍増させる試算を公表した。

 費用の一部は電気料金に上乗せされ、国民が負担する。原発の電気はコストが安いとする主張は、説得力を失っている。政府は再稼働に積極的な姿勢をいつまで続けるつもりなのか。

 「十分な反省もないまま原発はなお推進され、被災者はないがしろにされている」。古里を追われ、避難生活を余儀なくされた人たちの言葉が重く響く。

メニュー
 徳島ヴォルティス        高校野球
 社説        鳴潮           号外       地震
 ニュースリリース           不審者
 人事       訃報