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社説
3月12日付  朴大統領罷免  真の民主化への試練だ  
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 韓国憲法裁判所が、国会で弾劾訴追された朴槿恵(パククネ)大統領を罷免する決定を下した。

 1948年の建国以来、大統領が罷免されたのは初めてである。朴氏は即時失職し、焦点は5月9日の投開票が有力視される出直し大統領選に移った。

 韓国は日本にとって経済、文化などで関係の深い重要な隣国である。核・ミサイル開発を進める北朝鮮への対応など、安全保障面でも米国と共に緊密な連携を図らなければならない国だ。

 国内では罷免を巡って対立が強まっているが、一日も早く混乱を収拾し、国政を安定軌道に戻してもらいたい。

 憲法裁の決定は厳しい言葉が目立った。朴氏が親友の崔順実(チェスンシル)被告による国政介入を許し「国民の信任を裏切った」と断罪し、憲法を守る観点から容認できない重大な違反を犯したと指摘した。

 認定した事実は、崔被告に対する政府文書の提供や私的な利益追求の手助け、崔被告の依頼による民間企業への人事介入などである。国政介入の行為を徹底的に隠蔽(いんぺい)しようとしたとも批判した。

 その上で、これらが秘密厳守義務違反や大統領権限の乱用、企業の財産権と経営の自由の侵害に当たるとして、「憲法違反は在任期間全般にわたり持続的に行われた」と断じた。

 一方、憲法裁とは別に特別検察官が、朴氏がサムスングループから多額の賄賂を受け取ったと認定している。

 初の女性大統領として期待を担った朴氏が、これほど腐敗にまみれていた。怒りが沸騰したのは当然だろう。直近の世論調査でも弾劾を支持する国民が77%に上った。

 罷免の過程で浮き彫りになったのは、政経癒着や縁故人事、利権の享受といった社会に巣くう悪弊である。

 韓国は軍事独裁政権による抑圧を経て、87年に民主化を宣言した。公正な選挙による大統領選出や言論の自由の保障などは、国民が闘争の末に手にしたものである。

 それから30年になるが、真の民主化へ克服すべき課題はまだ多いようだ。今回の事態を試練と受け止め、成熟した民主主義国に向かうステップにすることが大事だろう。

 次の大統領の責任はこれまで以上に重い。国民の融和を図り、不公正な特権や権力の乱用を許さない仕組みを作る必要がある。

 気掛かりなのは、大統領選候補の多くが、日本に厳しい姿勢を見せていることだ。支持率トップの最大野党「共に民主党」の前代表は、従軍慰安婦問題を巡る日韓合意の見直しを主張している。

 だが、日韓合意は国同士の約束であり、政権が代わっても変更は認められない。日米韓の足並みが乱れれば、北朝鮮を利する結果となる。

 韓国はいつ平穏を取り戻すのか。東アジアの安定に向けて、果たす役割は大きい。国際社会も、その点を注視している。

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