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社説
3月13日付  陸自PKO撤収へ  「なぜ今」の疑問に答えよ  
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 政府が、南スーダン国連平和維持活動(PKO)に派遣中の陸上自衛隊施設部隊の撤収を決めた。現地の道路整備が完了する5月末を目途に活動を終える。

 各地で散発的に衝突が発生するなど南スーダンの治安は不安が拭えず、既にPKO参加5原則は崩れているのではないかとの指摘もある。

 私たちは、自衛隊が戦闘に巻き込まれないよう、政府は撤収を検討すべきだと主張してきた。

 ようやく撤収を決めたとはいえ、判断が遅くはないか。

 一方で、「なぜ今」と、政府の判断に唐突な印象を持つ国民も少なくないはずだ。

 政府が安全保障関連法に基づく「駆け付け警護」の新任務の付与を閣議決定し、わずか約4カ月で撤収に踏み切る判断をした真の理由は何か。

 安倍晋三首相は「(首都)ジュバの施設整備に一定の区切りを付けることができる」と述べたが、すとんと胸に落ちる説明だとは思えない。

 今年2月、国会で首相は治安情勢が厳しいとの認識を示し、隊員に犠牲が出た場合には「(辞任の)覚悟を持たないといけない」と述べた。

 撤収は、突発的事態による政権へのダメージを考慮したと受け止めるのが自然だ。

 隊員の無事帰還を願うのなら、5月末を目途などと言わず、もっと早く任務を終わらせるのが筋である。

 現在、11次隊は施設部隊の約350人が、インフラ整備などの任務に就いている。

 政府がまとめた自衛隊の活動実績によると、1次隊から約5年間で、道路の補修は210キロ、大学などの用地造成は延べ約50万平方メートルに及ぶ。ほかに、医療活動や給水、トイレの設置にも取り組んだ。

 過酷な環境の下で、自衛隊はインフラ整備、民生支援に力を尽くしたといえる。

 そんな現地での貢献活動が危険と隣り合わせだということも、今回改めて分かった。

 ジュバでは昨年7月、270人以上が死亡する武力衝突が起きた。防衛省がいったんは廃棄としたPKO部隊の日報には「部隊の宿営地周辺での流れ弾や、市内での突発的な戦闘への巻き込まれに注意が必要」との記載があった。

 稲田朋美防衛相への報告が遅れたシビリアンコントロール(文民統制)を巡る問題も浮上している。

 撤収の判断には、この隠蔽(いんぺい)疑惑を沈静化させる狙いがあるとの見方も出ている。一連の過程は、さらに検証する必要がある。

 今回の撤収で、自衛隊部隊を派遣する形でのPKO活動はなくなる。

 もちろん、日本が相応の国際貢献を果たすのは当然だ。それは、平和主義を掲げた憲法の精神に沿うものでなければならない。

 自衛隊員が銃撃戦を行うことで憲法に抵触しかねない「駆け付け警護」などの任務は、すぐに撤回すべきだ。

 今後のPKOでの任務付与にも強く反対する。

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