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社説
3月15日付  中国全人代  危惧される軍備の増強  
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 中国が経済成長の鈍化をよそに、軍事費を膨張させている。南シナ海で人工島を軍事拠点化するなど海洋進出を続けており、懸念材料である。

 習近平指導部が内政、外交の諸課題に取り組む方針を示した第12期全国人民代表大会(全人代=国会)第5回会議が、きょう閉幕する。

 李克強首相は政府活動報告で、2017年の実質国内総生産(GDP)成長率の目標を、前年より事実上引き下げて6・5%前後とした。目標の引き下げは3年連続だ。

 一方、17年度予算案の国防費は前年度実績比7%増の1兆443億元(約17兆2千億円)に増額した。1兆元を超えたのは初めてで、日本の防衛予算の3倍以上に当たる。

 南シナ海問題で対立し、国防費を大幅に増額する方針を表明した米国のトランプ政権に対抗する狙いから、軍備の増強が危惧される。

 活動報告ではさらに「保護主義に反対して、経済のグローバル化がより公正で合理的な方向に発展するよう導く」とした。通商政策でも「米国第一主義」を掲げるトランプ政権をけん制した形だ。

 課題が山積する内政面の対処も注目された。

 微小粒子状物質「PM2・5」を含む深刻な大気汚染が一向に改善されないことに、国民は頭を悩ませている。汚染が目立つ北京市などを相手取る損害賠償訴訟が起こされたほどだ。

 大気汚染などの副作用を生んだ高度成長路線を修正し、鉄鋼、石炭の過剰生産能力を削減する構造改革を急ぐのは当然だろう。

 石炭から電気・ガスへの切り替えを進めるが、効果は未知数だと言わざるを得ない。

 PM2・5は偏西風に乗って日本にも飛来することがあり、無関心ではいられない問題である。

 指導部が重視してきた貧困対策にも苦慮しているようだ。李氏はこれを「最も脆弱(ぜいじゃく)な部分だ」と訴えたが、1人当たりの年間収入が3000元(約5万円)程度を下回る農村の貧困人口は4335万人に上っている。

 今回の全人代は、秋に開かれる5年に1度の党大会の前哨戦とされる。

 地方の有力指導者からは、共産党の「核心」に位置付けられた習氏をたたえる発言が相次ぐなど、権力の集中ぶりが読み取れる。

 開幕早々、北朝鮮が弾道ミサイルを発射したことに、神経をとがらせている。北朝鮮への影響力に限界があることも浮き彫りになった。

 王毅外相は記者会見で、北朝鮮による核開発と米韓大規模軍事演習の暫定的な停止を提案すると述べた。米韓と北朝鮮の対立について「赤信号をともし、ブレーキをかけることが急務だ」と強調したのは危機感の現れである。

 中国も、巨額の軍事費を背景に南シナ海で既成事実を積み重ねるのではなく、世界秩序の安定に尽力する姿勢を示していくべきだ。

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