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社説
3月16日付  GPS違法判断  国会は法整備へ議論急げ  
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 衛星利用測位システム(GPS)端末を捜査対象者の車に取り付けたのは強制捜査に当たり、裁判所の令状を取らずに行ったことは違法とする初判断を、最高裁大法廷が示した。

 端末使用はプライバシー侵害の程度が大きいとした判断は、妥当と言えよう。

 最高裁は、現行法上の「検証許可状」(令状)を使うことについても「疑義がある」とし、憲法や刑事訴訟法に適合する立法措置を促した。

 車を使った広域犯罪などで有効とされるGPS捜査だが、事実上、運用は警察に委ねられ、弊害を防ぐ手だてが乏しい。

 どのような場合に使用が許されるのかなど、国会は法整備に向けて速やかに議論を始めてもらいたい。

 大法廷が審理したのは、2012~13年に起きた連続窃盗事件である。大阪府警が被告の男らの車などに、約半年間にわたり端末を取り付け、位置情報が1200回以上、検索された端末もあった。犯行とは関係ない被告の知人の車にも設置していたという。

 一、二審の大阪地裁、高裁とも懲役5年6月の有罪判決は同じだったが、GPS捜査に対しては地裁が「重大な違法がある」、高裁は「重大な違法はなかった」と判断が分かれた。全国の地裁、高裁でも割れており、最高裁の判断に注目が集まっていた。

 上告審で大きな争点となったのは、GPS捜査がプライバシーをどの程度侵害するかである。

 弁護側は「立ち寄る場所から信仰する宗教など、人の内面まで推認できる」と主張し、検察側は、令状が不要な任意捜査の「尾行や張り込みを超えるものではない」と反論した。

 最高裁は「必然的に個人の行動の継続的、網羅的な把握を伴う」とし、憲法が保障する重要な法的利益を侵害すると結論付けた。

 大量に取得された正確な位置情報は、目的外に利用される恐れもある。通常の尾行などと同等とした主張を退けたのは、うなずける。

 検察側は、百歩譲って強制捜査と解釈されても「対象の状態を認識する『検証』」を許可する検証許可状を、捜査後に相手側に提示すれば許されるとも主張したが、最高裁はこれも否定した。

 検証許可状では、容疑と無関係な情報まで取得してしまうというのが理由である。弁護側も、検証名目で際限なく捜査範囲が広がりかねないとの懸念を示していた。やはり新たな法制度が必要だ。

 GPS捜査を巡っては、端末使用の事実を徹底して秘匿するよう、警察庁が全国の都道府県警に通達していたことが判明している。

 大切なのは、実施できる要件や手続きを明確にし、端末使用が適切だったかどうかを第三者がチェックできる仕組みを作ることである。国民の不安と疑念を払拭しなければならない。

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