徳島新聞Web

9月23日(土曜日)
2 2
22日(金)
23日(土)
社説
3月20日付  テロ等準備罪  必要性は認められない  
このエントリーをはてなブックマークに追加

 政府の迷走ぶりは、この法案がいかに問題が多いかを物語っている。

 共謀罪の構成要件を厳しくした「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案のことだ。政府は21日にも閣議決定する構えだが、到底、賛成できない。

 というのも、捜査当局の拡大解釈や乱用への懸念が尽きないからである。

 政府が改正案で強調するのは「東京五輪・パラリンピックを見据えたテロ対策の強化」の必要性だ。各国の連携強化のためには国際組織犯罪防止条約の締結が不可欠で、締結の要件として法整備が要ると主張する。

 条約は「4年以上の懲役・禁錮を定めている罪」を犯罪とするよう要請しており、当初、対象犯罪は676に上った。ところが、政府は公明党の意向も踏まえて、直接テロの手段になり得るものを中心に277に削減した。

 これでは、政府が2005年に閣議決定した「犯罪の内容に応じて選別することは条約上できない」という答弁書との整合性が取れない。

 政府は、自民党法務部会で「当時は条約を担保するために慎重な対応を取った」と釈明したが、そんな場当たり的な説明で国民が納得するわけがなかろう。

 改正案では「組織的犯罪集団」の活動を対象とし、現場の下見など「準備行為」の要件も規定した。犯罪実行前に自首した場合は刑を減免する規定を盛り込んだが「密告を奨励する」との批判もある。

 共同通信社が今月中旬、実施した全国電話世論調査によると、改正案への反対は45・5%で、賛成の33・0%を上回った。賛成が42・6%、反対が40・7%だった1月の調査と賛否が逆転したのは、国民が不信感を強めている証しではないか。

 改正案を巡る金田勝年法相の対応も一因である。答弁能力の不足を露呈したばかりではない。2月には、法務省が報道機関向けに、改正案提出前の衆院予算委での審議を回避したいとする文書を発表。法相は撤回し、謝罪に追い込まれた。

 テロ対策を強調しているのに、与党に示した条文案には「テロ」の表記がなかったのも問題だ。与野党から批判の声が上がったため、政府は条文に「テロリズム集団」の文言を入れて、与党の了承を得たが、その場しのぎの対応との感が拭えない。

 安倍晋三首相は1月の衆院代表質問で「条約を締結できなければ、東京五輪を開催できないと言っても過言ではない」と答弁したが、説得力は薄れている。

 外務省の調べでは、経済協力開発機構(OECD)に加盟する35カ国のうち、条約の締結に際して、「共謀罪」などを新設したのは4カ国にとどまる。大半は、既存の国内法で対応していた。

 テロ対策は極めて重要だが、日本でも既存の法律で対応できるはずだ。

メニュー
 徳島ヴォルティス        高校野球
 社説        鳴潮           号外       地震
 ニュースリリース           不審者
 人事       訃報