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社説
4月15日付  テロ等準備罪審議  徹底的に問題点洗い出せ  
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 「共謀罪」の構成要件を改めた「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案の審議が、衆院法務委員会で始まった。

 法案は適用対象を「組織的犯罪集団」と規定している。構成員らが2人以上で犯罪を計画し、うち少なくとも1人が関係場所の下見などの「準備行為」をしたとき、計画に合意した全員が処罰される。

 犯罪を実行していないのにである。しかも、政府見解では、正当な活動を行っていた団体でも目的が一変した場合は、処罰の対象になるとしている。

 これでは、市民団体が不安に思うのも無理はない。

 捜査当局の恣意(しい)的運用による人権侵害の懸念が拭えない法案には、改めて反対する。

 法務委の議論を通じて、法案の問題点を徹底的に洗い出してもらいたい。

 きのう、法務委で金田勝年法相が法案の趣旨説明を行った。これまで野党の国会質問に「成案を得てから説明する」と繰り返し答弁してきたが、今度こそ、しっかりと説明しなければならない。

 与党は法務委で30時間程度の審議を見込むが、不十分である。重大な懸念があるからだ。「成立ありき」で衆院通過を急ぐことは許されない。

 政府は2020年東京五輪・パラリンピックのテロ対策のために、国際組織犯罪防止条約を締結する必要性を強調する。条約締結に向けた国内法整備の一環だという。

 だが、当初、法案には「テロ」の文字がなく、与党議員からの指摘を受けて「テロ」の文言が付け加えられた経緯がある。テロ対策が本来の狙いではないと疑われても仕方があるまい。

 既存の法律でも十分対応できるとの指摘について、政府はどう答えるのか。

 対象となる犯罪の扱いも釈然としない。

 条約は、4年以上の懲役・禁錮を定めた「重大犯罪」の合意(共謀)などを犯罪とするよう求めている。

 この規定を踏まえた当初案では対象犯罪が676だったが、公明党などの指摘を受けて、277に削減された。

 ところが、政府は05年、条約の規定を理由に「犯罪の内容に応じて選別することはできない」との答弁書を閣議決定している。

 ではなぜ、対象犯罪を絞り込むことができたのか。

 法務委では自民党議員がこの点をただした。

 これに対して、外務省は「一般の方々が対象にならないと明確にするため犯罪主体を組織的犯罪集団に限定し、新しいアプローチで立案した」として「政府として条約の解釈を変えたわけではない」などと答えた。

 国民の胸にすとんと落ちる説明といえるだろうか。

 廃案を目指す野党は、答弁書の整合性やテロ防止の実効性について徹底追及する構えである。

 与党は万が一にも強行採決をしてはならない。

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