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社説
4月18日付  特定秘密審査  恣意的な運用はないのか  
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 特定秘密保護法の運用のずさんさが、改めて浮き彫りになった形だ。

 政府が2015年末までに指定した特定秘密443件のうち、約4割に当たる166件に秘密を記録した文書がなかったことが、衆院情報監視審査会の報告書で分かった。

 この中には、具体的な情報がない段階で事前に特定秘密にする「あらかじめ指定」が15件あり、情報を個人の知識や記憶にとどめておくケースも10件あった。

 これでは、本当に秘密にする必要性があったのかどうか疑わしくなる。

 政府は秘密指定の要件を見直し、厳格な運用に努めなければならない。改善できないのなら、法律を廃止すべきである。

 文書がなかった166件のうち、91件は暗号などとして存在していた。

 問題は、あらかじめ指定である。政府は特定秘密保護法の逐条解説により「現存しないが将来出現することが確実」で「完全に特定し得る情報」をあらかじめ指定できるとし、事業者に行わせる武器の試験結果を例示している。

 入手してからでは秘密指定の手続きに時間がかかり、情報の保護に隙が生じるというのが理由だが、要件は曖昧だ。恣意(しい)的な指定につながる恐れがある。

 特定秘密保護法に対しては、秘密の範囲が際限なく広がり、国民の知る権利や表現の自由が侵されるとの懸念が拭えない。運用基準の留意事項に「必要最小限の情報を必要最低限の期間に限り指定する」と明記されたのは、そのためだ。

 あらかじめ指定の多用は、この大原則を骨抜きにするものである。審査会が「重大な疑問がある」としたのは当然だろう。

 職員の頭の中だけに存在する情報を特定秘密にしたのも、理解に苦しむ。文書を廃棄したり、他の行政機関に移したりしたからだというが、情報の保護や漏えい防止をどう図るのか。

 国家安全保障会議(NSC)の議事録提示を拒否するなど、情報開示に消極的な政府の姿勢も明らかになった。

 審査会は昨年の報告書で、特定秘密の保存期間が満了する前に秘密文書を廃棄する時は、内閣府の独立公文書管理監が点検し、審査会に定期報告する制度を創設するよう求めたが、政府はこれにも応じていない。

 安全保障や外交上の問題があるとしても、衆参の審査会は、特定秘密の運用状況を政府外部からチェックする唯一の機関である。政府は、真摯(しんし)に対応する責任があるのを忘れてはならない。

 審査会は、国会法に基づく「勧告」を政府に行うことができるが、強制力はなく、当初から実効性が疑問視されてきた。

 政府が情報開示や運用の見直しに消極的な態度を取り続けるのなら、審査会の権限を強化しなければならない。

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