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社説
5月4日付  安倍首相改憲発言  「20年施行」に危惧覚える  
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 「憲法を改正し2020年を施行の年にしたい」。安倍晋三首相(自民党総裁)が憲法記念日のきのう、東京都内の憲法改正を訴える会合に寄せたビデオメッセージで、早期改憲に踏み込んだ。

 首相の極めて前のめりな姿勢には、危惧を覚える。

 憲法改正を巡る与党のコンセンサス(合意)は形成されておらず、国民の理解も深まっていない。

 そんなに改憲を急ぐ必要がどこにあるのか。

 首相は、憲法学者や政党には自衛隊を違憲とする議論が今なお存在していると指摘し「私たちの世代のうちに、自衛隊の存在を憲法上にしっかりと位置付ける」と語った。

 その上で、戦争放棄や戦力不保持を定めた9条については「1項、2項を残しつつ、自衛隊を明文で書き込むという考え方が国民的な議論に値する」と述べた。

 憲法改正を巡って9条と自衛隊の明文化に言及したことへの反響は大きい。国民的論議を喚起することで、憲法改正の動きを加速させようとの狙いは明らかだ。

 首相は、東京五輪・パラリンピックが開かれる2020年に関して「新しく生まれ変わった日本がしっかりと動き出す年」との認識を示し、新しい憲法が施行される年にしたいと位置付けた。

 自民党総裁任期が延長されたことから、首相は18年9月の総裁選での3選を目指し、21年までの続投を視野に入れる。20年の施行なら、任期中に念願の憲法改正をやり遂げたことになる。
 
 首相の発言からは、国会発議の条件を満たした自信が読み取れる。昨年夏の参院選で与党が勝利した結果、改憲勢力が衆参両院で国会発議に必要な3分の2以上の議席を占めたという事実は重い。

 改憲が現実味を帯びてきたことは確かだろう。

 しかし、国会の憲法審査会では、自民党が目指している改憲項目の絞り込みが進んでいない。発議の見通しが立たないのが現状である。

 野党第1党の民進党は、安倍政権下での改憲に否定的だ。蓮舫代表は、首相が言及する改憲項目が発議要件緩和や緊急事態条項など変遷を続けているとして「何のために、誰のために改正するのか全く見えない」と反発した。

 民進党の存在を無視して、改正手続きを進めるのは困難だ。今後の衆参の選挙結果次第では、3分の2以上の議席を維持できるかどうかも分からない。憲法改正へのハードルは依然、高いと言える。

 ましてや、9条は戦後日本の平和を支えてきたバックボーンである。

 共同通信社が憲法施行70年を前に行った世論調査によると、日本が戦後、海外で武力行使しなかった理由について「憲法9条があったからだ」とする回答は75%に上った。

 自衛隊に関して、どんな条文を念頭に置いているのかも含めて、首相は説明責任を果たさなければならない。

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