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社説
5月11日付  改憲で首相答弁  真摯な姿勢に欠けている  
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 「党総裁としての考え方は読売新聞に書いてある。それを熟読していただきたい」

 安倍晋三首相の衆院予算委員会での答弁には驚いた。

 首相と自民党総裁としての立場を使い分けているようだが、国会を軽視しているとしか思えない。

 それも、安倍首相が提起した9条改正を巡る質疑でだ。正々堂々、自らの信じるところを国会で述べるのが、責任ある政治家としてのあるべき姿ではないのか。

 発端となったのは、首相が憲法記念日に、憲法改正を訴える会合に寄せたビデオメッセージで、9条改正に言及したことだ。戦争放棄や戦力不保持を定めた1項、2項を残しながら自衛隊の存在を明文化する憲法改正と、2020年の施行に意欲を見せた。

 戦後の日本の平和を支えてきた9条の改正は国の根幹に関わる事柄であり、国民の関心も極めて高い。国会で論議されるのは当然である。

 民進党の長妻昭氏は、首相のこの発言の真意をただし、自衛隊を国防軍と位置付けた12年の自民党改憲草案は取り下げるのかと追及した。

 これに対する首相の答弁が冒頭の発言である。国民の疑問に真摯(しんし)に答えようとする姿勢はうかがえない。

 そもそも、首相は国会答弁を、質問者だけに対するものと考えているのか。

 特定の新聞を全ての国民が購読していないことは百も承知のはずだ。

 言うまでもなく、憲法改正は、衆参の3分の2以上の賛成を得て国会が発議しても、国民投票で過半数が賛成しなければ実現しない。主権者である国民を二の次にして改憲はできないのである。

 その国民が注視する国会の場で、自民党総裁である首相が、自ら打ち出した9条改正に関して語らないのは筋が通らない。

 民進党は首相のこの答弁を批判しており、9条改正案について、衆参両院の憲法審査会で扱わない構えだ。民進党にも改憲派議員がいるため、強引に意見集約を進めれば、党内対立が深まるという事情もある。

 おとといの参院予算委員会で首相は、民進党に対して「将来に向かって具体的な案を憲法審査会に提出してほしい」と促した。

 9条に自衛隊の存在を明記することに関しては「1、2項を残すのだから、当然、憲法上の制約は受ける」と述べ、集団的自衛権を含めて自衛隊の武力行使が制限されるという見解を示した。

 ようやく、首相はそう説明したが、国民には改正案のイメージがわきにくい。20年の施行を目指すというのも前のめり過ぎる。発議に向けた時間的なゆとりはほとんどなく、拙速は慎まなければならない。
 
 9条1、2項を残したままで自衛隊を明記するのは難題である。それが可能というのなら、まず首相がたたき台の一つも例示してもらいたい。

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