徳島新聞Web

10月20日(金曜日)
2 2
20日(金)
21日(土)
社説
5月28日付  学術会議声明  軍学分離を貫かなければ  
このエントリーをはてなブックマークに追加

 日本の科学者を代表する国の特別機関、日本学術会議が発表した軍事研究に関する新声明は、大学が対応を決める際の指針となるものだ。

 新声明は、大学での軍事的研究は、学術の健全な発展と緊張関係にあることを指摘し、過去の戦争協力への反省から軍事研究をしないと掲げた1950年と67年の声明を「継承する」とした。

 この決意を広く共有し、生かしていくことが大切だ。

 注目されるのは、大学の科学者らが行う軍事応用も可能な基礎研究に助成する防衛省の公募制度について「政府による介入が著しく、問題が多い」などと指摘したことだ。

 予算額が年々増えている制度に対し、科学者らが安易に応募しないよう歯止めをかける狙いが込められている。

 科学技術には、「デュアルユース」と呼ばれる両義性がある。原爆を例にすれば、核分裂で生じる膨大なエネルギーを利用した兵器が、その後に原発として一般向けの発電に応用された。

 今や暮らしに不可欠なインターネットや衛星利用測位システム(GPS)も、もともと米国が軍事技術として開発した。軍事と民生技術の境界線は分かりにくくなっており、科学者らがどう関わっていくかは難しい課題である。

 2015年度に始めた防衛省の公募制度も、デュアルユース研究に資金を出すもので、参加する大学の研究者が出ていた。このため、日本学術会議は声明の見直しを進めていた。

 だが、研究費不足に悩む研究者や大学にとって、制度は魅力的に映るだろう。民生分野の研究資金の充実を図っていくことも大事である。

 さらに新声明では、防衛省の制度を含め、軍事研究とみなされる可能性のある研究を行う場合、適切性を審査する制度を設けるべきだとした。何が適切なのかについて、科学者の間で共通認識を持つ必要がある。

 声明に強制力はないが、大学側に動きが出始めている。

 防衛省の公募制度に関して徳島大は「17年度の公募については、応募があっても認めない」とする方針を決定した。役員会などで公募制度への対応について協議し、4月12日付で研究者に通知したという。

 徳島大が応募を認めない方針を全研究者に示すのは初めてである。日本学術会議が発してきた「軍学分離」の方針に賛同し、これまでも応募は認めていなかったが、今回、改めて大学側の姿勢を示すことにした形であり、これを支持したい。

 全国の国公私立大95校を対象にした共同通信のアンケートでは、軍学分離の声明について、「堅持すべきだ」とする大学が約4割あった。6割は明確な態度を示さなかったが、従来方針を変更してもよいという声はなかった。

 防衛省の研究に対して、大学側がどう臨むのか。議論を続けなければならない。

メニュー
 徳島ヴォルティス        高校野球
 社説        鳴潮           号外       地震
 ニュースリリース           不審者
 人事       訃報