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社説
6月16日付  共謀罪成立  民主主義を否定するのか  
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 国会会期末を控えて、与党が強行突破した。

 「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案を、参院本会議で可決、成立させた。

 本来行うべき参院法務委員会での採決を省略し、本会議採決に持ち込む「中間報告」という形でである。

 議論を尽くして最善の結論を得る道を踏み外し、数の力で異論を封じる。まさに、国会の役割と民主主義を否定する暴挙である。

 国民の不安と疑問の声を無視したやり方は、到底認められない。改正法が悪用されないよう、政府を監視していかなければならない。

 改正法は、適用対象をテロ組織や暴力団などの組織的犯罪集団と規定。2人以上の構成員が犯罪を計画し、少なくとも1人が下見などの「準備行為」をすれば、計画に合意した全員を処罰するとした。

 政府は一般の人が対象になることはないと説明したが、組織的犯罪集団の定義は曖昧で、何が準備行為と見なされるのかも判然としない。

 正当な市民活動や政府に対する抗議行動が、当局の判断次第で捜査対象にされる恐れは十分にある。

 昨年8月には、野党の支援団体が入居する建物敷地内に、大分県警が隠しカメラを設置する事件が発覚した。

 改正法により「監視社会」が助長され、自由に物が言えない状況になるのではないか。多くの国民がそう懸念するのは当然である。

 批判は海外からも寄せられている。国連特別報告者が「プライバシーや表現の自由を不当に制約する恐れがある」と政府に書簡を送ったのに続き、国際ペンクラブの会長も同趣旨の声明を発表した。政府・与党はこうした指摘にも耳をふさいだままだ。

 国民の間には「テロ対策」を理由に、改正法に賛成する意見があるのも確かだ。

 国際組織犯罪防止条約の締結に必要だと、政府が強調してきたのも一因だろう。

 しかし、条約の「立法ガイド」を執筆した米国の大学教授は「条約はテロ対策が目的ではない」と明言した。

 そもそも、日本は既にテロ対策の主要13条約を締結しており、国内法の整備もほぼ終わっている。

 脅威をあおり、反対の強い法案を通すのは「特定秘密保護法」や「安全保障関連法」でも見られた安倍政権の常とう手段である。

 政府・与党は、18日までの国会会期を延長して改正法を成立させる方向で検討していた。中間報告という「禁じ手」で、急きょ採決に踏み切ったのはなぜか。

 野党は、安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人「加計(かけ)学園」の獣医学部新設問題に対する攻勢を強めている。国会を早く閉じて、幕引きを図り、追及をかわしたかったのではないか。

 「加計問題隠し」だとしたら断じて許されない。

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