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社説
8月20日付  憲法改正  急がずに熟議を重ねよ  
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 安倍晋三首相が意欲を見せる憲法改正の行方に不透明感が漂ってきた。

 かねて、首相は憲法9条への自衛隊明記を掲げ、2020年の改正憲法施行を目指すと表明。臨時国会で自民党の改憲案を提示し、議論を進める考えを明らかにしていた。

 だが、東京都議選で惨敗し、加計(かけ)学園問題などで内閣支持率が急落した後、「スケジュールありきではない」と述べ、事実上先送りした。

 自民党は、臨時国会での提示を見送る方向だ。

 もともと、国民の間で憲法改正に向けた機運が高まっていないのに、首相主導で改正項目や日程が定まっていくことには違和感があった。

 憲法改正が必要かどうかも含めて、まずは論議を深めるべきだろう。

 共同通信社の最近の全国緊急電話世論調査によると、安倍首相の下での憲法改正には賛成が34・5%で、反対が53・4%を占めた。

 逆風が強まる状況で発議を急いでも、憲法改正の見通しは立つまい。改正の国会発議には衆参両院で総議員の3分の2以上の賛成がそれぞれ必要だ。国民投票では過半数の賛成を得なければならない。

 それなのに、与党内でも温度差が顕著になっている。

 参院選の「合区」解消問題がその一例だ。自民党は、衆参両院選挙について定めた憲法47条を改正する案を打ち出した。

 これに対し、公明党の山口那津男代表は否定的な考えを示したばかりか「衆参両院で議論の成熟度に開きがあり、参院では議論が進んでいない。衆参で発議するのは簡単ではない」と述べ、改憲に消極的な姿勢を強めている。
 
 憲法改正原案を審査する衆院憲法審査会は、先の通常国会で7回の実質審議を行ったが、参院の憲法審査会は与野党対立のあおりで、停滞している。
 
 自民党内でも、石破茂元幹事長が首相の9条改正案を批判しており、岸田文雄政調会長も9条改正には慎重な立場を崩していない。

 「安倍1強」が揺らぐ今、強引に改憲を推し進めれば、抵抗が強まるだけだ。

 自民党は首相の提案を踏まえ、9条改正と教育無償化、緊急事態条項、合区解消の4項目を中心に議論してきた。

 ここに来て、党内にも変化が現れた。党憲法改正推進本部の教育無償化論議では「憲法に書くのではなく、法律や制度で手当てするのが望ましい」と一般法で対応が可能という意見が相次いだ。

 教育無償化は、日本維新の会が改憲案の柱と位置付けている。早期改憲へ協力を得ようという首相の思惑が透けて見える中で、否定的な意見が出たことに注目したい。

 与党議員は首相に気兼ねせず、率直に意見を出すことが大事である。野党も積極的に憲法に関する見解を示し、熟議してもらいたい。

 憲法改正を急ぐ必要は認められない。

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