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社説
8月21日付  徴用工問題   韓国は火種をつくるな  
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 日本の植民地支配下で強制動員されたとして、韓国の元徴用工らが日本政府や企業に補償を求めている問題で、韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領が、個人の請求権は消滅していないとの認識を示した。
 
 徴用工問題は、両国政府が解決済みとしてきたものだ。それを今になって否定するとは、全く理解に苦しむ。
 
 日本と韓国は経済や文化、安全保障など、さまざまな面で関係を強めなければならない重要な隣国同士である。
 
 歴史問題を蒸し返し、新たな火種をつくることが、一国のリーダーとしてふさわしい行動なのか。文氏はよく考えてもらいたい。
 
 元徴用工への補償に関しては、1965年の日韓国交正常化の際に結んだ請求権協定がある。日本が3億ドルの無償資金を提供し、同時に、両国政府、国民間の請求権問題は「完全かつ最終的に解決された」とする内容だ。
 
 日本と同様、歴代の韓国政権も「解決」を認める立場を取ってきた。
 
 これに異を唱えたのが、韓国の最高裁である。2012年に、協定では個人の請求権は消滅していないとの初判断を示し、その後、韓国の地・高裁で日本企業に賠償を命じる判決が相次いでいる。
 
 文氏は、最高裁判断が政府の立場だと明言したが、到底納得できない。
 
 協定を巡っては、05年に盧武鉉(ノムヒョン)政権が検証したことがある。その結果、日本からの3億ドルは「強制動員の被害補償問題を解決する(性格の)資金」だと指摘し、元徴用工らへの日本による補償措置は解決済みとの見解をまとめた。
 
 文氏は、盧大統領の側近として検証に関与した一人である。見解が誤っていたというなら、その理由を明確に説明してほしい。
 
 韓国では今夏、徴用工らの脱出劇を描いた映画「軍艦島」が公開され、関心が集まった。ソウル中心部に、市民グループが徴用工の像を設置する事態にもなっている。
 
 懸念されるのは、反日感情の高まりが、日韓関係を再び冷え込ませてしまうことだ。そうならないために、政治家には歴史問題で冷静な対応が求められる。
 
 文氏は、従軍慰安婦問題の解決を確認した15年の日韓合意に対しても懐疑的だ。成立過程を検証し、結果次第では日本側に再交渉を求める構えである。
 
 だが、請求権協定も日韓合意も、長い交渉を経て国同士が交わしたものだ。政権が代わったからといって、一方的にほごにできるはずがない。
 
 文氏は、過去の歴史が未来志向の日韓関係の障害になり続けるのは望ましくないとも語っている。
 
 そうであるなら、国民に迎合し、感情をあおるような言動は慎むべきだ。
 
 このままでは、韓国は約束を守れない国と見なされるのではないか。国際的な信用が問われかねないことを、文氏は認識しなければならない。

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