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社説
8月23日付  四国の鉄道網   路線維持へ知恵を絞ろう  
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 10年先、20年先の四国の鉄道ネットワークはどうあるべきか。JR四国と四国4県は18日、国や経済団体の関係者、学識経験者らを交えた懇談会を設置し、議論をスタートさせた。
 
 住民の「足」は守るべきである。そのために何ができるかを考えたい。地域の未来像とも密接に絡むテーマであり、掘り下げた議論を望む。
 
 JR四国は1987年の発足以来、鉄道事業の赤字が続いている。全国に先駆けて進む人口減少が、一層の利用者減を招くとみられる。
 
 経営状況や人口予測の数字を見る限り、いつ、路線廃止が切迫した課題として浮上しても不思議ではない。
 
 初会合では、18人の委員から意見が出された。懇談会の座長を務める正司健一神戸大大学院教授によると、路線の維持が重要だとの認識で総論は一致したという。この共通認識の下で、どんな対策を見いだすのか、注目したい。
 
 鉄道事業の現状は深刻だ。JR四国の2016年度の鉄道運輸収入は236億円で、ピークだった1996年度の370億円の3分の2以下に落ち込んだ。高速道路延伸による影響が大きいためだ。赤字を補う経営安定基金の運用益が金利水準の低下で大幅に減額している事情も重なり、苦しい経営が続いている。
 
 四国4県の15年の国勢調査人口は385万人だった。国立社会保障・人口問題研究所の予測では、40年には300万人を割り込む。インバウンド(訪日外国人旅行者)の誘客など、期待できる要素もあるが、人口減少がそれを上回るマイナス効果をもたらすという見方が一般的だ。
 
 そんな厳しい経営環境で、総論では「残すべき」と一致しているが、問われるのは具体策である。路線別の収支は来年の第2回会合以降に示されるが、何らかのてこ入れ策が必要になろう。

 路線を維持するため、沿線自治体に費用負担が求められる事態も想定される。
 
 車を運転できない高齢者や学生にとって、鉄道は欠かせない公共交通機関である。路線がなくなれば、暮らしづらい地域になり、人口流出に拍車がかかりかねない。
 
 地域を守るには、財政力が弱い沿線自治体や4県に加えて、国の支援が欠かせない。
 
 国の予算を見ると、道路に比べて鉄道の予算は極めて少ない。しかも、その多くは新幹線関連だ。地方のライフラインである在来線を維持するための枠組みが、もっとあってもいいはずである。
 
 JR四国の自助努力の在り方も論点となる。鉄道利用を促進するために、利便性を高めるダイヤ改正や運賃割引の拡充などのサービス向上はもちろん、旅行客の一層の誘致に力を注ぐべきだ。
 
 正司座長は初会合後の会見で「人口減少の中で先送りする余裕はない」と話した。
 
 懇談会の中にとどまらず、住民と共に、地域全体で知恵を絞ることが大切である。

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