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社説
8月29日付  消費者庁徳島拠点   生活者の目線を大事に  
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 消費者庁が徳島県庁に政策立案拠点「消費者行政新未来創造オフィス」を開設して1カ月が過ぎた。
 
 消費者庁や国民生活センターの職員54人体制で、大学教授ら非常勤の客員研究員を除く約40人が常駐。子どもの誤飲や遊具での事故防止、消費者庁が作った副読本の高校での活用といったプロジェクトを進めている。
 
 職場が東京から移った多くの人が長時間の通勤から解放され、午後7時をめどに退庁するなど「働き方改革」も実践している。順調な滑り出しといえる。
 
 新オフィスでは今後、食品ロスの削減や高齢者見守りネットワーク構築、エシカル(倫理的)消費の普及などに取り組んでいく。
 
 オフィスの一角を占める国民生活センターでは、南海トラフ巨大地震で大きな被害が想定される本県の特性を踏まえ、地震の揺れによる給湯器や家具の転倒防止対策を各家庭に広める事業に着手した。
 
 重要なのは、これらを全国に通用する施策に練り上げていくことである。
 
 新オフィスの実績などを基に、3年後をめどに消費者庁の全面移転の可否が判断される。県が同じフロアに設けた「とくしま消費者行政プラットホーム」とうまく連携しながら、成果を十分に上げてもらいたい。
 
 中央省庁の地方移転は、地方創生を掲げる安倍政権が東京一極集中を是正するために打ち出した看板政策だ。ただ3年がたち、国民の関心は薄れている。
 
 消費者庁を徳島に移転することに意義を見いだせない人も少なくない。6月に開設準備中のオフィスを訪れた衆院消費者問題特別委員会の委員からは「消費者庁が徳島でなければならない理由をしっかり示してほしい」との声が上がった。
 
 こうした徳島移転に懐疑的な人たちに納得してもらう必要がある。
 
 消費者庁は他の省庁とは行政手法が異なる。元消費者庁長官の福嶋浩彦さんは「消費者行政は行政の方向性をこれまでと逆にするものだ」と指摘する。
 
 中央省庁はまず事業者にアプローチすることが多い。これに対して、消費者庁は、消費者にとってどんな社会が必要か、市場はどうあるべきかを、生活者の目線で検討し施策を立案していく。あくまでも「消費者起点」でなければならないという。
 
 消費者起点の行政を推進するには、消費者と直接向き合うことができる徳島はうってつけではないか。鳴門わかめの産地偽装問題などで先進的な対策も講じてきた。
 
 オフィスの担当室長を務める日下部英紀参事官は「消費者庁はこれまで地方に事務所がなかった。徳島を実証フィールドとしたい」と意気込みを見せている。
 
 消費者庁は、新オフィスの取り組みを通じて、県民との距離を縮めることが大切だ。

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