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社説
9月8日付  エネルギー計画  脱原発へ議論を深めよ  
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 エネルギー基本計画の改定に向けた議論が始まった。
 
 政府は2030年度の電源構成比率に関し、原発の割合を20~22%にする目標を掲げているが、多くの国民が疑問に感じている。
 
 14年に閣議決定した現在の基本計画は、原発を「ベースロード電源」と位置づけ、旧民主党政権が掲げた原発ゼロを目指す方針を転換した。
 
 だが、原子力規制委員会の審査に合格し、再稼働した原発は5基にとどまっている。
 
 政府はこの先、再稼働が進み、老朽原発も手続きを踏んで運転を延長するものが出てくると見ているようだが、世論の反発は避けられまい。
 
 有識者会議では、原発の新設を盛り込むかどうかを巡って、原発利用促進と脱原発の双方の立場から見直しを求める意見が出た。
 
 これに対して、経済産業省は再稼働が進展しない現状も踏まえ、計画の大幅見直しには慎重な姿勢を示した。本年度中にまとめる計画は、抜本的な改定に踏み込まない見込みだという。
 
 内閣支持率が一時より低迷する中、いたずらに刺激したくないという安倍政権の思惑も見える。
 
 ただ、このまま問題を先送りしていいわけではない。東京電力福島第1原発事故が残した教訓をいま一度、思い返すべきである。
 
 原発依存から脱却し、中長期的なエネルギー政策の方向性を示さなければならない。
 
 原発に対する不信感は、安全性ばかりでなく、経済性にもある。これまで電力業界と政府は一貫して「原発は火力発電や再生可能エネルギーより割安だ」と強調してきた。
 
 しかし、福島第1原発事故を受けた世界的な規制強化で、1基3千億円といわれた建設費用が1兆円規模に膨らんだとされる。
 
 安いとは言えず、再稼働や新増設を推進する材料にならないのは明らかだ。
 
 さらに、経産省は7月、原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分ができる可能性のある地域を示した「科学的特性マップ」を公表。国土の7割弱が適地とされ、絞り込みが難しい状況は今なお変わらない。
 
 こうした現実を踏まえれば、原発への依存度を低下させながら、再生可能エネルギーを高めていくのがあるべき姿ではないか。
 
 再生エネは、30年度の目標とする電源構成比率22~24%に対して、現在は太陽光を中心に15%程度まで拡大しているという。
 
 とはいえ、導入促進の費用が固定価格買い取り制度で電気料金に上乗せされ、国民負担が膨らんでいる。これをどう抑制していくか。議論を深めていくことが大切だ。
 
 世界のエネルギーを巡る動きは大きく変わってきた。米国や欧州で原発の後退が続いており、アジアでは、台湾と韓国が脱原発へとかじを切っている。そうした潮流を無視してはならない。

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