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社説
9月21日付  凍土遮水壁  汚染水対策を加速させよ  
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 東京電力福島第1原発で、汚染水対策の切り札として期待される「凍土遮水壁」の全面運用が視野に入った。

 凍土壁は、1~4号機を取り囲むように埋めた配管に冷却材を循環させて地中に氷の壁を築き、建屋に流入する地下水を減らす仕組みだ。

 約1・5キロの凍土壁のうち、建屋西側に残った約7メートルの未凍結部分の凍結作業が数カ月後に完了する。

 原子炉建屋の地下には、事故で溶融した核燃料に触れた高濃度汚染水がたまっている。汚染水を増やす地下水の流入を食い止め、対策を加速させてほしい。

 凍土壁の凍結作業は昨年3月末から段階的に行われてきた。原子力規制委員会が慎重な姿勢を取ってきたためだ。全面運用されれば、建屋周囲の地下水位が下がり、建屋内の汚染水の水位と逆転して、汚染水が外に漏れ出す恐れがあると指摘されてきた。

 東電は、降雨が極端に少ない条件などでも、建屋周辺の井戸「サブドレン」で地下水位を制御して汚染水の漏えいを防げると説明している。

 万が一にも、建屋から汚染水を流出させることがあってはならない。

 だが、8月2日には見過ごせない事態が発生した。4号機近くの地下水位が一時低下し、原子炉建屋地下の汚染水と逆転して、汚染水が漏えいする可能性があった。

 井戸で水位が低下して警報が鳴ったのに、東電が水位計の故障と誤って判断し、現場の確認や規制委への通報も翌日にずれ込んだ。

 この件に関して、規制委が「起きたことを小さく伝えようとしている。正しく社会に発信できていない」と東電の姿勢を批判したのは当然だ。

 これまで、東電の隠蔽(いんぺい)体質はたびたび批判されており、規制委の声を真摯(しんし)に受け止めるべきである。

 凍土壁には約350億円の国費が投じられ、年間十数億円の維持費なども必要だ。

 大切なのは、費用に見合う効果を挙げることだけではない。東電が安全対策や情報公開を徹底しなければ、国民から信頼される汚染水対策とは言えまい。

 ほかにも、地下水を高台の井戸でくみ上げて海に放出する「地下水バイパス」も導入されている。

 当初、1日400トンだった建屋への地下水の流入量は、6月には約140トンまで減った。東電は100トン以下を目指すとしているが、凍土壁が全面運用されても、どこまで低減できるかは見通せない。

 汚染水を巡っては重要な課題も残されている。高濃度汚染水は浄化しても、トリチウムを取り除けない。処理された水は敷地内のタンクに大量に保管され、増える一方だ。

 風評被害を懸念する地元の漁業関係者らは、海への放出に反対しており、最終的な処分のめどは立っていない。

 政府、東電は、国民の理解を得られる解決策を打ち出してもらいたい。

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