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社説
9月22日付  新町西訴訟、市勝訴   地権者置き去りにするな  
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 徳島市が新町西地区再開発事業の権利変換計画を不認可処分にした判断の違法性を巡って争われた訴訟で、徳島地裁が市の主張を全面的に認める判決を下した。
 
 権利変換計画の認可・不認可の是非に司法判断が下されたのは、全国初である。
 
 最大の焦点は、新町西地区の土地・建物の価値を再開発ビルの床面や金銭に置き換える権利変換計画について、市長に認可・不認可の裁量があるかだった。
 
 原告である地権者でつくる再開発組合は「裁量の余地はない」と訴えたが、判決は「市長には諸事情を考慮して判断する裁量がある」として退けた。
 
 遠藤彰良市長は2016年3月の市長選で、事業の白紙撤回を公約に掲げて当選。前市長主導で推進してきた事業は、着工直前で止まった。
 
 白紙撤回した遠藤市長には、選挙で得た民意という後ろ盾がある。判決は「社会情勢の変動に伴い、施策が変更されるのは住民自治の原則からすれば当然」と指摘した。
 
 しかし、前市長に協力して事業を進めてきた組合からすれば、最後になってはしごを外された格好だ。
 
 そもそも訴訟に至ったのも、白紙撤回した経緯について遠藤市長から納得のいく説明がないとして、組合側が不信感を募らせたのが大きな要因である。
 
 市の主張が認められたとはいえ、組合との溝を深めた責任を、遠藤市長は重く受け止めなければならない。
 
 組合には、事業推進を前提にした調査設計費などで5億円余りの負債がある。
 
 組合が控訴するかどうかは未定で今後の展開は見通せないが、長年にわたって市とともに歩んできた地権者を置き去りにすることがあってはならない。
 
 徳島市中心部のまちづくりをどう進めるかも、課題として残る。
 
 市は16年11月、有識者会議の提言を基に再開発事業の代替案2案を取りまとめたが、訴訟が継続していたこともあって事実上の棚上げ状態となっている。
 
 県都の顔でもある中心市街地が沈滞したままでいいはずがない。どのようなビジョンで活性化を図っていくのか。遠藤市長は明確な方向性を打ち出すべきである。
 
 新町西地区再開発事業の中核施設に位置付けていた音楽・芸術ホールに代わる新ホールについては、市が5月に建設予定地を徳島駅西側駐車場に決めている。
 
 市文化センターが15年3月末で閉館し、市内のホール不足は深刻な状況だ。本格的な新ホールの早期整備が強く求められている。
 
 市は年度内にも新ホールの基本計画案を取りまとめる方針だ。
 
 建設地を巡ってはさまざまな意見がある。それだけに、市民、県民の納得がいく、しっかりとした計画をつくらなければならない。

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