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社説
9月26日付  首相解散表明   大義名分はどこにある  
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 疑惑隠しと言われても仕方ないだろう。
 
 安倍晋三首相が28日に臨時国会を召集し、衆院を解散する意向を正式に表明した。所信表明演説は行わず、審議もしないという。
 
 記者会見で首相は、消費税増収分の使い道を見直す方針を掲げて信を問うとしたが、解散の「大義」とするには説得力に欠けている。
 
 民進党など野党4党は、学校法人・森友学園や加計(かけ)学園の疑惑を解明するため、憲法53条に基づいて臨時国会の召集を求めてきた。
 
 それを3カ月も放置した揚げ句、やっと開くと思ったら冒頭解散である。首相の専権事項とはいえ、あまりに不誠実ではないか。
 
 北朝鮮情勢が緊迫する中、政治空白をつくることに不安を抱く国民も少なくない。これでは政治不信が高まろう。
 
 首相が説明した消費税増収分の使途変更は、国の借金返済分を2兆円減らし、教育無償化などに振り向けるというものだ。高齢者重視の社会保障を「全世代型」に変えるとも強調した。
 
 しかし、増収分を教育無償化などに使うとの主張は民進党が先に示しており、争点にはなりにくい。
 
 借金返済分が減り、財政健全化を先送りするのは問題だが、社会保障の充実に回すことに国民から強い反対が出るとも思えない。選挙で問う意味がどれほどあるのか。
 
 首相は、アベノミクスや看板政策「人づくり革命」に取り組むとし、北朝鮮への圧力強化の方針も訴えた。新たに「生産性革命」を打ち上げたが、いずれも従来の路線と大きく変わらない。
 
 首をかしげるのは、森友・加計問題について丁寧に説明すると繰り返してきたにもかかわらず、臨時国会での審議を避けた点だ。
 
 自民党の二階俊博幹事長は「そんな小さな問題を隠すことは考えていない」と述べたが、そうであるなら早く臨時国会を開き、きちんと疑惑を晴らすべきではなかったか。
 
 首相は、閉会中審査などで丁寧に説明してきたとの認識を示したが、共同通信社が23、24の両日に行った全国世論調査では、政府の説明に79%の人が「納得できない」と答えている。国民の思いとずれていると言えよう。
 
 内閣支持率が回復基調にあり、野党の選挙態勢が整っていないのも判断材料になったようだ。
 
 首相は、北朝鮮に対応する安定した政権の必要性も訴えたが、政権維持を優先させる思惑が透けて見える。
 
 衆院選は「10月10日公示―同22日投開票」の日程で実施される。政府・与党はまず、解散の大義名分を国民に分かりやすく説明すべきだ。
 
 野党4党は候補者一本化の調整に向かい、小池百合子東京都知事が代表となる新党「希望の党」も発足する。それぞれ政権との対抗軸をしっかりと打ち出し、選択肢を提示しなければならない。

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