徳島新聞Web

10月19日(木曜日)
2 2
19日(木)
20日(金)
社説
9月29日付  <2017衆院選>衆院解散   「1強」の是非が問われる  
このエントリーをはてなブックマークに追加

 政界が大きく流動化する中、事実上の選挙戦が幕を開けた。
  
 臨時国会の冒頭、安倍晋三首相が衆院を解散し「10月10日公示、22日投開票」に向けて各党が一斉に走りだした。
 
 何のための解散なのか。今週初めに首相が記者会見で語った説明は納得し難いものだったが、内政、外交ともに問うべき課題は多い。
 
 衆院選は国の将来を託す政党や議員を決める政権選択選挙である。各党や立候補予定者らは、目指す国の在り方をしっかりと掲げ、政策を明確に示してもらいたい。
 
 ◆国の在り方競い合え
 
 最大の争点となるのは、第2次安倍政権の発足以来、4年9カ月にわたる首相の政治姿勢である。
 
 学校法人・森友学園や加計(かけ)学園の問題について、首相は丁寧に説明すると語ってきた。ところが、野党が求めた臨時国会を先延ばしにし、冒頭で解散に踏み切った。
 
 閉会中審査に応じたとはいえ、数々の疑惑は解消されていない。森友学園では首相夫人が小学校の名誉校長に一時就き、加計学園は首相の「腹心の友」が理事長を務める。
 
 問われているのは、公平・公正であるべき行政が、ゆがめられたのではないかということだ。政治に最も大事な信頼に関わる問題である。
 
 国会審議を拒んだのは「疑惑隠し」だと、野党が非難したのは当然だろう。
 
 議論を封じるやり方は、「共謀罪」法の審議でも見られた。安倍政権は先の通常国会で、委員会採決を省略する「中間報告」という奇手を使って成立させた。
 2013年の特定秘密保護法、15年の安全保障関連法も、国民の反対を押し切っての強行採決だった。
 
 14年には、歴代内閣が憲法上許されないとしてきた集団的自衛権の行使を、憲法解釈の変更で容認する閣議決定をしている。
 
 数の力で押し通す手法に、おごりはないか。「安倍1強」体制の是非が厳しく問われよう。
 
 首相は、19年10月に消費税率を引き上げる際、増収分の使い道を変更するから、国民の信を問うと訴えた。
 
 しかし、2年先の税の使途を解散理由にするのは無理がある。北朝鮮情勢の緊迫化も挙げ、安定した政権基盤が必要と強調したが、そんな状況で、どうして解散したのか。
 
 アベノミクスの評価や医療、年金、介護、子育ての社会保障に加え、首相が掲げる「働き方改革」、地方創生、9条への自衛隊明記を含む憲法改正なども重要な争点だ。
 
 各党は10月早々に公約をまとめる。単なるスローガンではなく、具体的で分かりやすい政策を練り上げなければならない。
 
 ◆理念・政策の一致は
 
 突然の解散・総選挙を受け、野党第1党の民進党は、小池百合子東京都知事が結成した新党「希望の党」と、事実上合流し解党する捨て身の作戦に出た。それぞれが無所属となり、希望の党に公認申請する方式だ。
 
 前原誠司代表は「どんな手段を使っても安倍政権を止める」とし、理想の社会をつくるため「名を捨てて実を取る」と述べた。
 
 党勢が回復せず、「離党ドミノ」が止まらない窮状の下での決断である。小選挙区制では、与党と1対1の構図に持ち込まなければ勝てないとの判断は理解できる。
 
 だが、両党の間には基本理念や政策に違いがある。
 
 消費税増税に前原氏は賛成し、小池氏は反対だ。「原発ゼロ」では「30年代」とする前原氏に対し、小池氏は「30年」と踏み込んだ。憲法観や安保政策でも、小池氏ら希望のメンバーと距離がある民進党議員は少なくない。
 
 小池氏は公認に当たって選別するとしており、曲折がありそうだ。
 
 いずれにせよ、理念・政策で一致しなければ、選挙目当ての野合だとのそしりは免れまい。
 
 私たち国民は、にわかに「劇場化」してきた展開に目を奪われず、冷静に判断することが大切だ。

メニュー
 徳島ヴォルティス        高校野球
 社説        鳴潮           号外       地震
 ニュースリリース           不審者
 人事       訃報