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社説
9月30日付  参院1票の格差  「合憲」でも抜本改革急げ  
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 人口減少が深刻な地方の住民にとって、考えさせられることの多い判決だった。

 「1票の格差」が最大3・08倍だった昨年7月の参院選について、最高裁大法廷が「著しい不平等状態にはなかった」として「合憲」と判断した。

 「合憲」としたのは4・86倍だった2007年以来だ。

 だが、国会には、3倍を超える1票の格差をさらに縮める努力が求められる。

 焦点となったのは、国会の格差是正に向けた取り組みへの評価だった。

 徳島と高知、鳥取と島根をそれぞれ一つの選挙区とした「合区」に関して、最高裁は「参院の創設以来初めての合区を行うことで、数十年間にもわたり5倍前後で推移してきた格差が縮小した」と評価した。

 一方で、最高裁は、投票価値の平等に十分配慮すれば、都道府県を選挙区の単位とする制度も不合理ではないとの考え方も示した。留意すべき指摘である。

 合区の弊害は大きい。歴史や風土が違う県を合わせた広大な選挙区では、有権者が候補者の生の声を聞く機会が少ない。なじみのない候補者に票を投じにくかったのは、投票率の低下から読み取れる。

 選挙制度改革が、有権者の政治離れを促すものであってはなるまい。

 地方住民の声を国会に届きにくくする合区は解消すべきだ。全国知事会や地方議会、自民党も地方の事情を考慮して合区の解消を求めている。

 もともと、合区には緊急避難的な狙いがあった。

 合区を導入した改正公選法は付則に、19年の参院選に向けて選挙制度を抜本的に見直すと定めており、最高裁も「さらなる是正を志向するものと評価できる」とした。

 国会は司法の期待に応えるために、見直しを加速させなければならない。

 参院各会派は代表者で構成する参院改革協議会で抜本改革を目指すが、論議は進展していない。

 自民党は、憲法47条を改正して、改選ごとに都道府県から最低1人を選出する方策を念頭に置く。だが、改憲のハードルは高く、実現は容易ではない。大選挙区制を志向する公明党は47条改正には否定的だ。民進党は合区の拡大を検討してきた。

 党利党略を排さなければ、到底、成案は得られまい。

 政党の枠組みが変化した衆院選の行方も、今後の論議に微妙に影響するだろう。

 次回の参院選に間に合わせるためには、来年の通常国会で関連法を成立させる必要がある。残された時間的ゆとりはそれほどない。

 しかし、最高裁が、国会が取り組む抜本的見直しを合憲判断の根拠の一つに置いた意味は重く、先送りは許されない。国会は小手先の調整ではなく、国民が納得する抜本改革を成し遂げる責務がある。

 地方に十分配慮し、格差是正を実現してほしい。

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