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社説
10月4日付  柏崎刈羽原発   「合格」ありきの審査では  
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 再稼働を推進する安倍政権を意識したのだろうか。
 
 東京電力柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県)の再稼働審査を行っている原子力規制委員会がきょう、事実上の合格証に当たる審査書案を了承する方針だ。
 
 福島第1原発事故を起こした東電の原発としては初めてで、第1原発と同じ沸騰水型炉の「合格」も初めてだ。
 
 規制委は、審査で焦点となった東電の事業者としての適格性を条件付きで認めた。
 
 だが、不都合な情報を隠(いん)蔽(ぺい)する東電の体質が変わったとは思えない。9月には、第1原発で汚染水が建屋外に漏れていた可能性が浮上し、安全管理能力にも疑問符が付いたままだ。
 
 議論が尽くされたとは言えず、結論を急ぐ規制委の姿勢には違和感が拭えない。
 
 東電の適格性について、これまで規制委は厳しい見方を示してきた。7月に社長ら新経営陣から意見聴取した際、当時の田中俊一委員長は「廃炉を主体的に行えない事業者に再稼働の資格はない」と批判した。
 
 ところが、安全確保に関する「基本的な考え方」を文書で提出させた8月には一転、理解を示した。規制委が求めた第1原発の汚染水処分の具体策を、東電が文書に盛り込まなかったにもかかわらずである。
 
 背景には、9月の退任前に道筋を付けたいという田中氏の意向があったとされる。
 
 そうした対応への批判から、規制委は「合格」をいったん見送り、更田豊志新委員長の下で議論を再開した。
 
 適格性を認める条件としたのは、安全に対する東電の「決意と覚悟」を原発の保安規定に盛り込むことだ。保安規定は事業者が定める運転管理方法で、違反すれば規制委から運転停止を求められる。
 
 これに明記することで実効性を持たせられると規制委は判断したが、曖昧な努力目標の違反認定は難しく、効果は見通せない。
 
 規制委は、東電が経済性より安全性を優先できるかどうかを、経済産業省に意見照会するともした。原発推進を担う官庁に尋ねる意義がどれほどあるのか。
 
 東電を巡っては、不信感を抱かせる問題が相次いでいる。柏崎刈羽原発の防潮堤について、「液状化はしない」と主張していたが、昨年10月に液状化の恐れを認めた。
 
 今年2月には、免震重要棟の耐震性不足を示す試算を約3年前に把握しながらも、審査会合などで報告していなかったことが発覚した。経営陣が決意や覚悟を強調しても、にわかには信じられない。
 
 新潟県知事は、地元同意の判断には第1原発事故の検証が必要との立場で「3~4年かかる」としている。
 
 規制委が「お墨付き」を与えても、実際の再稼働は数年先になる。合格ありきではなく、本当に「安全文化」が東電に根付くのか、時間をかけて見極めるべきだ。

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