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社説
10月7日付  ノーベル平和賞  核廃絶へ大きな励みだ  
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 核兵器の廃絶を希求する世界中の人々を力づける朗報である。

 今年のノーベル平和賞に、スイス・ジュネーブに拠点を置く国際非政府組織(NGO)「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)が受賞することが決まった。

 史上初めて核兵器を非合法化する「核兵器禁止条約」の制定に「革新的な努力」を尽くし、世界規模で核の非人道性を訴えてきた草の根の活動が評価された。

 広島、長崎の被爆者と連携し、日本の平和団体も関わる組織である。地道に活動してきたことが認められた喜びはひとしおだろう。私たちも祝福の言葉を送りたい。

 核兵器禁止条約は今年7月に、国連本部で採択された。

 核兵器の開発や実験、製造、保有、移譲などを禁止する画期的な内容だ。加えて、「核兵器を使用する」との威嚇も禁じた。威嚇とは「核抑止力」を意味する。

 前文には「被爆者(ヒバクシャ)の受け入れ難い苦しみに留意する」と明記した。

 72年前の8月に広島、長崎で被爆し、生き残った人たちが、核の非道さを訴え続けてこなければ、今ほどの核廃絶運動の盛り上がりはなかったかもしれない。

 そんな被爆者たちに寄り添い、共に歩んできたのがICANである。

 平和や軍縮、人権などの問題に取り組む100カ国超の約470団体の連合体組織で、2007年にオーストラリアで発足した。日本のNGOピースボートの川崎哲(あきら)共同代表は国際運営委員を務め、中核的な存在の一人だ。

 核兵器の非合法化に関する市民討論会を各地で開催し、ロビー活動で禁止条約の交渉入りを各国に働き掛けた。

 その結果、国連加盟国の3分の2に迫る122カ国の賛成により、条約は採択された。批准国は発効に必要な50カ国を既に超えている。

 ところが、唯一の戦争被爆国である日本は条約に反対し、制定交渉に加わらなかった。米国やロシアなど核保有国が参加しておらず、実効性がないというのが理由だ。米国の「核の傘」に依存していることも挙げる。

 しかし、核兵器の恐ろしさを最もよく知る日本が、世界の潮流に背を向けるのは情けない限りである。保有国の核軍縮が一向に進まない中、声を大にして軍縮、廃絶を主導することが被爆国の責務ではないか。

 ノーベル賞委員会は「多くの国が核開発に取り組む現実の脅威がある」と指摘し、北朝鮮を名指しで非難した。

 北朝鮮の核・ミサイル開発は差し迫った脅威だが、こうした動きが生まれるのは、核による平和といった幻想がいまだに力を持っているからだろう。

 核兵器は絶対悪であり、必要悪ではないと、被爆者らは訴えてきた。核抑止力に頼らない道を、世界は粘り強く追求しなければならない。

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