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社説
10月12日付  原発避難福島訴訟   国と東電は誠実に対応を  
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 国と東京電力は、福島第1原発事故が発生した福島で下された判決を、重く受け止めなければならない。
 
 被災者約3800人が国と東電に損害賠償などを求めた訴訟の判決で、福島地裁は双方の責任を認定し、原告約2900人に総額約5億円を支払うよう命じた。
 
 判決は、政府機関が2002年に発表した地震に関する「長期評価」に基づき、直ちに試算すれば、国と東電は敷地を大きく超える15・7メートルの津波を予見可能だったと指摘した。
 
 国が02年中に東電へ対策を命じていれば、事故は防げたとして「国の規制権限の不行使は著しく合理性を欠いていた」と結論付けた。
 
 3月の前橋地裁、9月の千葉地裁に続く3件目の判決で、両地裁で判断が分かれた津波対策を巡る国の責任の有無が最大の争点だった。
 
 国と東電の双方に賠償責任を認めたのは、前橋地裁に続き2例目だ。
 
 原子力事業を国策として進めてきた国の姿勢を、厳しく批判したのは当然だろう。国と東電は誠実に対応すべきである。
 
 判決は、国の中間指針に基づいて東電が支払っている慰謝料を上回る賠償も認め、被害救済の対象を広げた。
 
 国の指針を超える賠償命令は前橋、千葉、福島と3地裁連続で、被害が十分に救済されていない実態を改めて浮き彫りにした。「指針は崩壊している」という専門家の指摘にも注目したい。
 
 原告は、事故当時の福島県と宮城、茨城、栃木3県の住民で、事故後もとどまった人が8割を占める。全国の同種訴訟では最多の原告数で、今後も指針の在り方は問われることになるだろう。
 
 一方、原告は居住地の放射線量を事故前の水準に戻す原状回復と、実現まで毎月5万円の慰謝料を求めていたが、原状回復の訴えは却下された。原告の一部が求めていた「ふるさと喪失」への慰謝料も、既に支払われた賠償に含まれているとして認められなかった。
 
 東日本大震災の発生から、6年7カ月が経過した。福島県では、最大で12市町村に出ていた避難指示の解除が進んだが、今なお5万人超が県内外で避難生活を続けている。被災地で、どれほどの人が真の復興を実感できているだろうか。
 
 原発事故の被害は、まだ終わっていない。そんな厳しい状況にあるにもかかわらず、各地で原発再稼働の手続きが進んでいる。
 
 事故を起こした東電でも、柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県)が原子力規制委員会による審査に事実上合格した。事故の原因究明が不十分なままで、事業者としての適格性があるかは甚だ疑問だ。
 
 福島原発事故の教訓は生かされているのか。「想定外」だとして責任を逃れることはもはやできない。それを肝に銘じてもらいたい。

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